半導体製造工場、プロセス冷却水(PCW)オペレーションの可視性を向上させることにより、水とコスト、環境への影響を削減
背景
米国を拠点とする大手半導体製造工場では、プロセス冷却水(PCW)ループでさまざまな運用上の問題が発生し、現場にさまざまな面で悪影響を及ぼしていました:
課題 |
結果 |
効果 |
検知されない水漏れ |
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PCW の状態を十分に可視化できない |
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未管理の排水 |
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同工場のユーティリティ マネージャーたちはこのような問題に疑いの目を向けていましたが、問題の影響を診断し数値化するための説得力のあるデータが不足していました。そのため、トラブルシューティングや是正処置を行うための優先順位をつけることが困難でした。
ソリューション
同工場では PCW システムの管理に、ナルコ ウォーターの処理プログラムを採用しました。PCW ループ内の水質を管理するため、以下の機能を持つ 3D TRASAR™ プログラム が導入されました:
- PCW システムで一般的な水の損失を監視する不活性トレーサー
- 腐食防止性能をサポートするリアルタイムの腐食測定
- プロセス内での漏れを検出するリアルタイムの pH および導電率測定
始動直後、3D TRASAR コントローラーのデータから、初めて PCW ループで水漏れが発生していることが判明しました。
一定期間における不活性トレーサーの減衰速度と、既知のループ容量に基づき、水の損失を正確に計測することができました。それ以前は、ループへの補給水バルブの位置のみで水の損失を把握していました。
次に、工場のユーティリティ管理チームと製造機器所有者は必要なリソースを用い、漏れが発生している場所を特定して、機器所有者が適切な改善措置を取れるようにしました。次のようなアプローチが実践されました:
- PCW ループに特殊な蛍光トレーサーを追加し、処理化学薬品と区別するために異なる波長で測定。
- 製造機械の所有者に、各フロアの排水溝をチェックするための蛍光ペンを提供。このテストは、オペレーターに深い知識が必要なく、迅速でシンプルに、信頼性の高い検出を可能にします。
- トレーサーが検出されると、施設チームと製造機器所有者に通知。ほとんどの場合、漏れの問題は速やかに解決されました。ツールクラスターの排水口からトレーサーが検出されたことで、特定のクラスターを追加調査の対象に指定することができました。必要に応じて圧力テストや熱交換器の交換を行うなど、そのツールクラスターに関連する熱交換器がチェックされました。
この用途で使用する不活性トレーサーは、いくつかの特殊な特性を考慮して選択されました:
トレーサーの特徴 |
水漏れ検知アプリケーションのメリット |
PCW ループの処理化学工程で使用されるものとは異なるスペクトルで機能 |
PCW ループ処理プログラムを妨げることなく、識別測定が可能 |
pH や温度の影響を受けずに反応 |
測定に特殊な条件を必要とせず、幅広く応用が可能 |
スペクトルの非常に低いバックグラウンド領域で反応 |
他の潜在的な干渉物質が少ないスペクトル領域で可視化が可能に |
低濃度でも強い反応あり |
シンプルでも効果的:検知結果はシンプルに「イエス/ノー」で示されます |
迅速かつ正確で使いやすい |
高度な操作技術を必要としないトレーサーペンを使用 |
結果
この作業により、工場はいくつか大きなメリットを得ました:
PCW ループからの水漏れを減らすことで、年間推定 1090 万ガロンの水を節約することができました。
工場排水中のアゾールレベルは 64%(7,260 lbs)減少しました。これにより、地元の公営処理施設(POTW)での、流入するアゾール濃度に関する懸念を和らげることができました。
このプログラムを活用することで、工場の PCW システム内の化学的性質が安定し、腐食のリスクが低減され、実際にオペレーションを確認する作業の手間が削減されました。その結果、スタッフやベンダーの労働資源を、より価値の高いタスクに振り向けることができるようになりました。
使用する化学薬品のコストと UPW の運用コストの両方を削減することにより、年間 674,000 ドル以上の純節約を実現しました。このようなチームの取り組みを内部的な枠組みとして機能させることで、工場が今後も利益を維持できるようサポートすることができます。
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年間節約額
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水
1090 万ガロン*年間(4130 リットル)
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コスト
674,000 米ドル*/ 年
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環境への責任
年間 64%*アゾール排出削減
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もたらされた価値の合計:
年間 USD $674,000
*クライアントによって提供されたデータ