Monterrey MX Plant

エコラボのモンテレイ工場(メキシコ)
ウォーター・スチュワードシップ・リーダーの認定を取得

アライアンス・フォー・ウォーター・スチュワードシップ(AWS)のケーススタディ
2023年9月発行 | 2025​​​​​​​年1月改訂

見識

エコラボは、水関連ソリューションおよびサービスのグローバルリーダーとして、スマートな水管理、保全、スチュワードシップを通じて、安定して水を確保できる未来づくりに取り組んでいます。当社は以下を実践しながら、2030年までに、水に関わるネット・ポジティブ・インパクトを引き続き実現していく予定です。

  • 運営施設における水の削減、リサイクル、補給。当社は、2018年を基準として、水資源への影響を全社で生産単位あたり 40% 削減することを目標としています。 
  • リスクの高い施設で絶対取水量の 50% 以上を再利用することで、地域の水域を保護する。
  • 高リスク水域のエコラボ製造施設でアライアンス・フォー・ウォーター・スチュワードシップ(AWS) の水準を満たし、AWS 認証を取得することで成果を達成する。
    メキシコのヌエボ・レオン州モンテレイ郊外、アポダカ市に位置するエコラボの製造施設は、こうした目標達成に大きく貢献しています。モンテレイの施設は、洗剤、その他の消毒剤などの洗浄剤に使われる工業用の液体化学薬品の生産を専門とするブレンド工場です。

エコラボのモンテレイ施設では主に都市用水を使用しており、ペスケリア川流域を水源とするロドリーゴ・ゴメス(ラボカ)、セロ・プリエト、エル・クシージョの各ダムから供給されています。生活排水と工業排水は工場で処理された後、市営水道システムに放出されますが、そこでさらなる処理を経てからペスケリア川に排出されます。

モンテレイの施設は、AWS 認証の取得、工場におけるスマートな水管理アプローチの強化、革新技術の導入といった水をめぐる全社的な目標推進のための優先的拠点に指定されました。

活動

企業規模の水に関する目標達成に向けて、現地のチームは、2018年から2030年にかけて、生産量 1 トン当たりの年間使用量を 40% 削減することを目標に掲げました。

施設の水バランスの改善に向けて以下のプロジェクトを立ち上げ、全体的な水使用量を削減するために実践しています。

  • 市の水源からの水使用量を削減するため、雨水収集・ろ過システムを設置。
  • 浸透除去水の回収と再利用。
  • エアコン装置からの水の回収。
  • 工場の排水処理能力を高め、先進的な水のリサイクルと再利用を実現。

成果

モンテレイの施設における改善は、施設の操業効率アップとエコラボのサステナビリティ目標達成に向けた、有意義な一歩となったことが実証されました。

AWS Certification Plant Imagery


地域の水域の全体的な健全性を向上させる目的で、また、2030年ポジティブインパクト達成に向けたエコラボの取り組みの一環として、当社は事業を展開する高リスクな水域で AWS 認証取得を優先しています。

Water Governance Icon

健全な水の
ガバナンス

Sustainable Water Icon

サステナブルな
水質バランス

Quality Water Icon

健全な水の
水質状況

Water Related Areas Icon

重要な水関連分野

Safe Water Icon

水、除菌、衛生
(Water, Sanitation, Hygiene: WASH)

ウォーター・スチュワードシップのこれまでの経緯

エコラボは、自社施設でのサステナブルな水使用に加え、地域レベルで他の企業と協力する取り組みを進めています。製造施設全体の水管理について総合的なアプローチを進めるエコラボの取り組みに沿って、エコラボのモンテレイ施設(メキシコ)は、アライアンス・フォー・ウォーター・スチュワードシップ(AWS)バージョン 2.0 国際水基準のコア認定を取得しました。モンテレイの施設では、コア認定を維持するために、AWS の要件に関する最新情報を常に把握しています。

ペスケリア川流域における共通の水問題を特定するため、エコラボのスマート・ウォーター・ナビゲーター世界資源研究所(WRI)の Aqueduct Atlas の知見を活用して総合的なリスク評価を実施しました。水使用量削減プロジェクトは、リスクの確率と施設レベルおよび地域の利害関係者への影響を鑑みつつ、優先順位付けされました。

エコラボのウォーター・スチュワードシップによるアプローチは、自社の業務内だけでなく、当社が事業を展開する地域内にポジティブな影響をもたらすことを目標としています。モンテレイ施設と地元の利害関係者が抱える水に関する主な課題には、水不足、水質、インフラ、ガバナンスと規制、生物多様性の減少などがあります。 

こうした問題に効果的に対処するために、エコラボでは積極的なウォーター・スチュワードシップ・アプローチにより、持続可能な敷地内での水収支 と 水質 の継続的な改善に努めています。当社の総合的なアプローチには、重要な水関連エリア(IWRA)水、除菌、衛生(WASH)への重点的な取り組みが含まれており、これらすべての重要分野で当社が継続的に進歩していくには、積極的な水管理が欠かせません。   

エコラボ・スマート・ウォーター・ナビゲーター​​​​​​​を使って AWS の 5 項目の進捗状況を数値化すると、モンテレイの施設は、水成熟度曲線で「ウォータースマート」となります。水成熟度曲線は、施設の水戦略および管理計画の状態を数値化して図に表したものです。曲線上に示された施設の位置は、水管理と戦略、目標設定、水管理の実践、ウォーター・スチュワードシップを含む一定の基準によって決定されます。この基準には、AWS の枠組みの 5 つの成果に沿った原則が組み込まれており、どちらも、確実な水管理には、継続的な改善と施設で行う事業の内外での協力関係が含まれることが強調されています。

エコラボのスマート・ウォーター・ナビゲーターの詳細エコラボのウォーター・スチュワードシップに対するアプローチの詳細
Sustainable Water Icon

サステナブルな
水質バランス

ネット・ポジティブ・ウォーター

当社事業における持続可能な水収支とスマートな水管理へのアプローチは、全社的な水に関わるネット・ポジティブ・インパクトを実現するための重要な要素です。これらの企業目標に沿って、各地域のチームでは、2018年から2030年にかけて、施設における生産量 1 トン当たりの年間水使用量を毎年 40% 削減することを目標に掲げました。エコラボの 2030 年ポジティブ・インパクト目標を達成するために、エコラボのモンテレイ施設のチームは同施設を評価し、事業全体で水の使用量を削減する余地があるかどうか検討しました。水使用量削減プロジェクトの実施は、リスクの確率と施設レベルおよび地域の利害関係者への影響に基づいて優先順位が決定されました。

Quality Water Icon

水質

水質へのアプローチ

良好な水質を維持するため、モンテレイ水質チームは水質を毎日監視しています。さらに、排水は 3ヵ月ごとに地元の第三者機関によって分析されています。各施設では、雨水と排水を放出する前に、排水を目視で検査してテストを行い、地域の環境要件、許可限度、または会社の基準を満たしていることを確認する必要があります。  地域の環境要件や許可制限がない場合に、隣接する水路へ雨水を排出したり、都市下水路へ排水を放出する際は、会社の基準を満たす必要があります。同施設には、流出や水関連の問題が発生した場合における万全な対応計画が用意されており、最初の事故の根本原因の分析、内部報告プラットフォームでの文書化、緩和策についての話し合いなどが行われます。現場における水関連のコンプライアンスに関する情報は、ご要望に応じて提供可能です。

Water Governance Icon

水管理

水管理のアプローチ

工場レベルでは、安全衛生環境(SHE)マネジャーが排水試験、コンプライアンス、排水、合法的な排水の放出に対する責任を負っています。メンテナンス責任者は下水の排出、水の消費、現場での節水プロジェクトの指揮だけでなく、排水処理場、軟水や脱イオン水、雨水収集システムの運営に対する責任を担います。規制の最新情報や排水コンプライアンスに関するお問い合わせは、エコラボの環境責任者までご連絡ください。施設の水関連のコンプライアンス情報は、ご要望に応じて入手可能です。これには、施設において将来的なインシデントの発生を防ぐために必要な是正措置も含まれます。

会社の最上級ビジネスリーダーと部門責任者で構成されるサステナビリティ・エグゼクティブ・アドバイザリー・チーム(SEAT)が、本社サステナビリティ・チームを指導するとともにアドバイスを提供します。また、エコラボのサステナビリティウォーター・スチュワードシップおよび安全衛生・環境(SHE)に対する見解は公開されており、水関連の問題とコンプライアンスに対するエコラボの義務を示し、ガイダンスとなっています。    エコラボの サステナビリティに対する見解は、社内でのエコラボのグローバルなサステナビリティに関する取り組み、およびお客様への影響を具体化するものです。エコラボのウォーター・スチュワードシップに関する見解は、企業として、またお客様が水資源を事業、コミュニティ、そして自然に良い方法で利用することで、責任あるウォーター・スチュワードシップに対するエコラボのグローバルな取り組みを強化します。エコラボの SHE ポジションは、グローバルな事業活動における、安全衛生環境に関する優れた実践とパフォーマンスへのエコラボのコミットメントを示すものです。

Water Related Areas Icon

重要な水関連エリア

Safe Water Icon

水、除菌、衛生(WASH)


共同の取り組み

工場内における操業上の改善策に加え、エコラボのモンテレイ施設の外部ウォーター・スチュワードシップ活動も継続して進めています。工場、そして関連する地域の利害関係者に共通する課題としては、水不足、水質、インフラ、ガバナンスと規制、生物多様性の減少などがあります。

こうした共通の課題に対処するため、エコラボは流域内の他の水利用者とも連携しています。工場の従業員は、工場付近の緑地でのゴミ収集イベント、公立学校での手洗い推進のための啓蒙・教育キャンペーン、モンテレイ周辺の山岳地帯での植樹を中心としたボランティア・イベントなど、数多くの社会プロジェクトに参加しています。この施設は、公営の水処理事業者、地域の多様な民間企業、複数の非政府組織(NGO)を含む一般の利害関係者と関わっています。

2024年には、この地域のエコラボ従業員が、アポダカ生態局とともにボランティア活動に取り組み、小学校の児童たちに正しい手洗いの方法を重点的に教えました。エコラボは、森林再生イベントを開催し、複数の拠点のエコラボ従業員とその家族が参加しました。

エコラボ財団と TNC は2014年以来、モンテレイ都市圏の 60% 以上の水を供給する、クンブレス・デ・モンテレイ国立公園内の 293 エーカーを超える土地を修復・保全してきました。これらの活動は、モンテレイとその周辺の地域社会において水分浸透を改善し、水流を調整して、洪水のリスクを低減しながら、水の安全保障と気候変動への耐性を強化することを目的としています。さらに、当社の協力の下、景観を修復するために樹木を提供し、地元農民の生計に貢献するコミュニティ樹木苗床が作られました。2018年にスタートしたこの苗床は現在、年間 60,000 本の植物を生産しています。このように育てられた植物を使って、クンブレス・デ・モンテレイ国立公園内にある 300~370 エーカーの植生のない地域を再植林することができます。さらに植林によって地表水と地下水のろ過と流れを助け、450 万人に恩恵をもたらすこともできます。

現地でのウォーター・スチュワードシップの取り組みに加えて、エコラボのグローバルな寄付プログラムである Solutions for Life は、The Nature ConservancyProject WET Foundation とのパートナーシップやその他のプロジェクトを通して、淡水を保全・保護するという同社の使命に貢献しています。

このケーススタディは、AWS の指標 5.1.1、5.2.1、5.3.1. 5.4.1、5.4.2、5.5.1、5.5.2、5.5.3 に準拠して作成されています。モンテレイ施設での AWS の取り組みの詳しい情報は、ご要望に応じて入手可能です。詳細については、sustainability@ecolab.com までお問い合わせください。

 

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