Employee at Ecolab’s Suzano, Brazil Plant

エコラボ・スザノ工場(ブラジル)

アライアンス・フォー・ウォーター・スチュワードシップ(AWS)のケーススタディ
2023年1月発行 | 2025年9月改訂

見識

エコラボは、水関連ソリューションおよびサービスのグローバルリーダーとして、スマートな水管理、保全、スチュワードシップを通じて、より安全な水の未来づくりに取り組んでいます。当社は以下を実践しながら、2030年までに、水に関わるネット・ポジティブ・インパクトを引き続き実現していく予定です。

  • 運営施設における水の削減、リサイクル、補給。当社は、2018年を基準として、水資源への影響を全社で生産単位あたり 40% 削減することを目標としています。
  • リスクの高い施設で絶対取水量の 50% 以上を再利用することで、地域の水域を保護する。
  • 高リスク水域のエコラボ製造施設でアライアンス・フォー・ウォーター・スチュワードシップ(AWS) の水準を満たし、AWS 認証を取得することで成果を達成する。

ブラジルのサンパウロ近郊、スザノにあるエコラボの製造施設は、こうした目標達成に大きく貢献しています。当施設は、主に工業用水処理の化学品を製造する混合および化学反応の工場です。スザノの施設は、先カンブリア時代の帯水層からの地下水と、アルトチエテ川流域の複数の貯水池からなるアルトチエテ水系からの都市用水を水源としています。また、飲料水はグアラニ帯水層から取水しています。排水は公営および工業用の用水路に送られて処理された後、チエテ川に放出されます。

スザノ施設は、AWS 認証の取得、工場におけるスマートな水管理アプローチの強化、革新技術の導入といった水をめぐる全社的な目標推進のための優先的拠点に指定されました。

活動

企業規模の水に関する目標達成に向けて、現地のチームは、2018年から2030年にかけて、生産量 1 トン当たりの年間使用量を 40% 削減することを目標に掲げました。スザノ施設の水バランスの改善に向けて以下のプロジェクトを実施し、全体的な水使用量の削減に貢献しています。

  • 冷却水用 3D TRASAR™ 技術の導入により、冷却水システムの高度な監視、制御、資産保護を実現
  • 処理設備の洗浄工程の最適化
  • 水の使用量を削減するための洗浄キャンペーンと洗浄マトリックスの導入
  • 工場でのプロセスにおける水の再利用
  • 回転式除染ヘッドを設置し、タンク洗浄時の水の消費量を削減
  • 戦略的領域における新たな取り組みを捉えるためのサステナビリティワークショップ
  • 総合工場管理プログラムを活用して、部門相互編成チームを立ち上げて維持し、予防保全や継続的な改善プロジェクトを通じて工場全体の水の損失を特定して対処する。

成果

こうした取り組みの結果、スザノ工場では水とエネルギー使用量の削減を達成しました。工場における改善は、工場の操業効率アップとエコラボのサステナビリティ目標達成に向けた有意義な一歩となったことが実証されました。

注目のソリューション

Ecolab Solutions とデジタル技術を活用することで、スザノ製造工場における水の使用量削減、再利用、リサイクルを実現。

AWS Certification Plant Imagery


地域の水域の全体的な衛生状態を向上させるため、また、2030年のポジティブインパクト達成に向けたエコラボの取り組みの一環として、当社は事業を展開する高リスクな水域で AWS 認証取得を優先して進めています。

Water Governance Icon

健全な水の
ガバナンス

Sustainable Water Icon

サステナブルな
水質バランス

Quality Water Icon

健全な水の
水質状況

Water Related Areas Icon

重要な水関連分野

Safe Water Icon

水、除菌、衛生
(Water, Sanitation, Hygiene: WASH)

ウォーター・スチュワードシップのこれまでの経緯

エコラボは、自社施設でのサステナブルな水使用に加え、地域レベルで他の企業と協力する取り組みを進めています。製造施設全体の水管理について総合的なアプローチを積極的に進めるエコラボは2023年、アライアンス・フォー・ウォーター・スチュワードシップ(AWS)のバージョン 2.0 国際水基準のコア認定を取得しました。当施設では、コア認定を維持するために、AWS の要件に関する最新情報を常に把握しています。

アルトチエテ川流域とその周辺地域における共通の水問題を特定するため、エコラボのスマート・ウォーター・ナビゲーター世界リソース研究所(WRI)の Aqueduct Atlas から得られた洞察を活用し、総合的なリスク評価を実施して、共通の水問題と現場レベルの水問題を特定しました。  水使用量削減プロジェクトは、リスクの確率と施設レベルおよび地域の利害関係者への影響を鑑みつつ、優先順位付けされました。

エコラボのウォーター・スチュワードシップによるアプローチは、自社の業務内だけでなく、当社が事業を展開する地域内にポジティブな影響をもたらすことを目標としています。スザノ施設と地元の利害関係者にとって水に関する最大の課題として挙げられるのが、水不足、水質、洪水による物理的な水リスク、清潔な水へのアクセス、そして非効率な水管理などです。 

こうした問題に効果的に対処するために、エコラボでは積極的なウォーター・スチュワードシップ・アプローチにより、持続可能な敷地内での水収支 と 水質 の継続的な改善に努めています。当社の包括的なアプローチには、重要な水関連分野(IWRA)水、除菌、衛生(WASH)への重点的な取り組みが含まれており、これらすべての重要分野で当社が継続的に進歩していくには、積極的な水管理が欠かせません。   

 

エコラボ・スマート・ウォーター・ナビゲーター​​​​​​​を使って AWS の 5 項目の進捗状況を数値化すると、スザノ施設は、水成熟度曲線で「ウォータースマート」 となります。水成熟度曲線は、施設の水戦略および管理計画の状態を数値化して図に表したものです。曲線上に示された施設の位置は、水管理と戦略、目標設定、水管理の実践、ウォーター・スチュワードシップを含む一定の基準によって決定されます。この基準には、AWS の枠組みの 5 つの成果に沿った原則が組み込まれており、どちらも、強力な水管理には、継続的な改善と施設の運営の内外での協力関係が含まれることが強調されています。

エコラボのスマート・ウォーター・ナビゲーターの詳細エコラボのウォーター・スチュワードシップに対するアプローチの詳細
Sustainable Water Icon

サステナブルな
水質バランス

ネット・ポジティブ・ウォーター

当社の事業における持続可能な水収支とスマートな水管理へのアプローチは、地域ごとの水に関わるネット・ポジティブ・インパクトを実現するための重要な要素です。これらの企業目標に沿って、各地域のチームでは、2018年から2030年にかけて、施設における生産量 1 トン当たりの年間水使用量を毎年 40% 削減することを目標に掲げました。エコラボの 2030 年ポジティブ・インパクト目標を達成するために、スザノ施設のチームは同施設を評価し、事業全体で水の使用量を削減する余地があるかどうかを検討しました。水使用量削減プロジェクトの実施は、リスクの確率と施設レベルおよび地域の利害関係者への影響に基づいて優先順位が決定されました。

Quality Water Icon

水質

水質へのアプローチ

良好な排水の質を維持するため、継続的に温度と pH を調整しています。システムのコンプライアンスを徹底するため、詳細な分析が毎月実施され、年に一度の分析がサンパウロ州衛生局と環境庁に送られます。採取する飲料水の水質は毎月、また取得する工業用水の水質は毎年検査されます。 

流出や水関連の問題が発生した場合、スザノ工場には問題に対する万全の対応計画を用意しており、事故の根本原因の分析、経営陣によるレビュー、内部報告プラットフォームでの文書化、月例の工場会議における低減策についての話し合いなどが行われます。

Water Governance Icon

水管理

水管理のアプローチ

工場レベルでは、 安全、衛生、環境 (SHE) 部門が、水質、排水、排水の放出、およびこの件に関するすべての法的要件の管理を担当しています。ユーティリティ、物流、生産、およびメンテナンスを担当する各チームは、節水プロジェクトの実行に携わっています。さらにユーティリティチームは、工業用水・流出水処理システムの運用、排水の監視、関連するサンプルの採取も担当しています。施設の水関連のコンプライアンス情報は、ご要望に応じて入手可能です。これには、施設において将来的なインシデントの発生を防ぐために必要な是正措置も含まれます。さらに、エコラボの CDP レポートでは、違反および関連する是正措置を開示しています。

会社の最上級ビジネスリーダーと部門責任者で構成されるサステナビリティ・エグゼクティブ・アドバイザリー・チーム(SEAT)が、本社サステナビリティ・チームを指導するとともにアドバイスを提供します。さらに、エコラボのサステナビリティウォーター・スチュワードシップ安全・衛生・環境(SHE)に対する見解は一般公開されており、水に関する問題やコンプライアンスに対するエコラボの取り組み、ならびにガイダンスの役割を果たします。    エコラボのサステナビリティに対する見解は、社内でのサステナビリティに関するグローバルな取り組み、およびお客様への影響を具体化するものです。  エコラボのウォーター・スチュワードシップに関する見解は、事業やコミュニティ、自然のためになる水資源の使い方を自社とお客様に対して確認するなど、責任あるウォーター・スチュワードシップへのエコラボのグローバルな取り組みを強化するものです。  エコラボの SHE ポジションでは、グローバルな事業活動で安全衛生環境において優れた活動とパフォーマンスを実現するためのエコラボの取り組みを示しています。

Water Related Areas Icon

重要な水関連エリア(IWRA)

Safe Water Icon

水、除菌、衛生(WASH)


共同の取り組み

社内における運営の改善に加えて、エコラボのスザノ施設では、外部のウォーター・スチュワードシップ活動にも継続的に取り組んでいます。工場と関連する地域の利害関係者に共通する課題としては、水不足、水質、洪水による物理的な水リスクなどがあります。こうした共通の課題に対処するため、エコラボは流域内の他の水利用者とも連携しています。

現場の従業員は、エコラボのブラジル営業チームやサービスチームと連携し、ウォールアートや公共事業を通じて、地域社会に水の大切さを啓発するための様々な社会活動に参加してきました。この施設は、公営の水処理事業者、地域の多様な民間企業、複数の非政府組織(NGO)を含む一般の利害関係者と関わっています。

さらにエコラボは、国連(UN)の Water Resilience Coalition の発足当時からのメンバーであることを活かし、この連合のサンパウロ支部の立ち上げに尽力しました。これにより、地域の中小企業が連携して共通の水問題に立ち向かう基盤が拡大されました。

さらにエコラボは、サンパウロ水基金を通じてザ・ネイチャー・コンサーヴァンシー(TNC)とのパートナーシップによるプロジェクトにも取り組んでいます。このプロジェクトの主な目的は、サンパウロ都市圏における水の安全保障を守り、改善することです。サンパウロ水基金を通じて、アッパー・チエテ流域の源流域にあるモジ・ダス・クルゼスとサレソポリスの220 ヘクタールを超える森林が保護されます。プロジェクトのパートナーは地方の地主と協力して、保護と再生、そして地方の衛生に関する改善点を特定する目的で、現存する森林をマッピングしています。自治体にすでに存在する、市町村水保全規約(Municipal Water Conservation Policy)に沿った自発的な保護契約を地主と交わします。契約の締結後は、地域の地主たちは所有する森林を保護することで報酬を受け取ります。プロジェクトでは資金を活用し、サレソポリスおよび/またはモジダスクルーゼス地区において古いシステムを高度な技術を使ったものに置き換え、地域で最低限の衛生設備を利用できるようにしています。

このプロジェクトは、年間 2940 万ガロンの水を 10 年間にわたり補給します。多大な水量の利点に加えて、このイニシアチブは、長期的な地下水の貯蔵と再補給をサポートし、地表水の質を向上させるとともに、在来植物種の豊富さと多様性を促進するように考案されています。水基金を通じて、モジ・ダス・クルゼス市とサレソポリス市(いずれも流域内)の少なくとも 220 ヘクタールの森林が保護されます。エコラボの支援は、水に目に見える利益をもたらすだけでなく、炭素隔離の改善、気候変動への適応と緩和戦略の強化にも貢献する見込みです。これらの取り組みは最終的に、この地域に住む最大 1200 万人の環境レジリエンスと人々の健康を強化することを目的としています。 

地域でのウォーター・スチュワードシップの取り組みに加え、エコラボの世界的な寄付プログラムである「ソリューション・フォー・ライフ」は、TNC や Project Wet 財団とのパートナーシップ、その他のプロジェクトを通じて、淡水を保全・保護する当社の使命を着実に果たしています。 


このケーススタディは、AWS の指標 5.1.1、5.2.1、5.3.1. 5.4.1、5.4.2、5.5.1、5.5.2、5.5.3 に準拠して作成されています。詳細については、sustainability@ecolab.com までお問い合わせください。


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