Water images for internal and external use

エコラボのプラセンシア施設
ウォーター・スチュワードシップのリーダーに認定

アライアンス・フォー・ウォーター・スチュワードシップ(AWS)基準導入のケーススタディ
2024年8月発行

見識

エコラボは、水関連ソリューションおよびサービスのグローバルリーダーとして、スマートな水管理、保全、スチュワードシップを通じて、安定して水を確保できる未来づくりに取り組んでいます。当社は以下を実践しながら、2030年までに、水に関わるネット・ポジティブ・インパクトを引き続き実現していく予定です。

  • 運営施設における水の削減、リサイクル、補給。当社は、2018年を基準として、水資源への影響を全社で生産単位あたり 40% 削減することを目標としています。
  • リスクの高い施設で絶対取水量の 50% 以上を再利用することで、地域の水域を保護する。
  • 高リスク水域のエコラボ製造施設でアライアンス・フォー・ウォーター・スチュワードシップ(AWS) の水準を満たし、AWS 認証を取得することで成果を達成する。

カリフォルニア州プラセンシアにあるエコラボの施設は、こうした目標達成に大きく貢献しています。プラセンシアの施設は、樹脂の再生と水の浄化に注力した水質浄化ソリューションを導入しています。南カリフォルニアのサンガブリエル河川域に位置するプラセンシア施設は、コロラド川水路とカリフォルニア水路から取水している水処理プラントからの水に依存しています。プラセンシア施設からの排水は、オレンジ郡衛生局のファウンテンバレー施設で処理された後、 太平洋に放出されます。

プラセンシアの施設は、AWS 認証の取得、工場におけるスマートな水管理アプローチの強化、革新技術の導入といった水をめぐる全社的な目標推進のための優先的拠点に指定されました。

活動

エコラボの全社的な水目標達成に貢献すべく、現地のチームは2018年から2030年にかけて、50% の絶対使用量削減を目標​​に掲げています。

水収支を改善して施設全体の水使用量を削減するために、次のようなプロジェクトが進行中です。

  • 効率と安全性を向上させる廃棄物中和システムの再設計
  • さらなる水の再利用を可能にする樹脂再生プロセスを支援する水加熱システムの再設計
  • 樹脂再生の各段階におけるプロセス水使用の改善と調整

成果

こうした活動の結果、プラセンシアの施設では水とエネルギーの使用量削減に成功しました。工場における改善は、工場の操業効率アップとエコラボのサステナビリティ目標達成に向けた有意義な一歩となったことが実証されました。
AWS Certification Plant Imagery


地域の水域の全体的な健全性を向上させる目的で、また、2030年ポジティブインパクト達成に向けたエコラボの取り組みの一環として、当社は事業を展開する高リスクな水域で AWS 認証取得を優先しています。

Water Governance Icon

健全な水の
ガバナンス

Sustainable Water Icon

サステナブルな
水質バランス

Quality Water Icon

健全な水の
水質状況

Water Related Areas Icon

重要な水関連分野

Safe Water Icon

水、除菌、衛生
(Water, Sanitation, Hygiene: WASH)

ウォーター・スチュワードシップのこれまでの経緯

エコラボは、自社施設でのサステナブルな水使用に加え、地域レベルで他の企業と協力する取り組みを進めています。エコラボは、全施設における水管理の総合的なアプローチへの取り組みに則して、プラセンシアの施設に2024年からアライアンス・フォー・ウォーター・スチュワードシップ(AWS)の国際標準を導入することを決定しました。

サンガブリエル支流域における共通の水問題を特定するため、エコラボのスマート・ウォーター・ナビゲーター世界資源研究所(WRI)の Aqueduct Atlas の知見を活用して総合的なリスク評価を実施し、共通の水問題と施設レベルでの水問題を明らかにしました。  

エコラボのウォーター・スチュワードシップによるアプローチは、自社の業務内だけでなく、当社が事業を展開する地域内における水問題にポジティブな影響をもたらすことを目標としています。工場と関連する地域の利害関係者の間における主な共通の問題には、既存の水源での積雪量の減少による水不足、水インフラの老朽化、都市部からの水の流出、水質問題、地下水の過剰揚水、地下水への塩水の侵入、さらに湿地帯や種の喪失などが挙げられます。その他の共通する問題には、地震のリスクや山火事などがあります。主な共通の問題に対処するため、エコラボは同水域内で水を使用する他の施設と協力しています。そのうち 2 つは AWS の認証を取得しているエコラボの施設で、1 つはカリフォルニア州カーソン、もう 1 つはカリフォルニア州シティ・オブ・インダストリー(COI)にあります。

こうした問題に効果的に対処するために、エコラボのウォーター・スチュワードシップ・アプローチには、AWS 標準で定められている 5 つの成果に向けた進捗の推進が盛り込まれています。エコラボは、施設の水収支水質の改善に継続的に取り組んでいます。事業範囲にとどまらない当社の包括的戦略には、地域の重要な水関連エリア(IWRA)および水、除菌、衛生(WASH)も含まれます。これらの主な重点分野に対する継続的な取り組みにおいては、施設や事業全体にわたる確実な水管理がカギとなります。

エコラボ・スマート・ウォーター・ナビゲーター​​​​​​​を使って AWS の 5 項目の進捗状況を数値化すると、プラセンシアの施設は、水成熟度曲線で「ウォータースマート」 となります。水成熟度曲線は、施設の水戦略および管理計画の状態を数値化して図に表したものです。曲線上に示された施設の位置は、水管理と戦略、目標設定、水管理の実践、ウォーター・スチュワードシップを含む一定の基準によって決定されます。この基準には、AWS フレームワークの 5 つの目標に沿った原則が盛り込まれており、どちらも、確実な水管理を行うためには施設のオペレーションの内外において継続的な改善と連携が必要なことが強調されています。

エコラボのスマート・ウォーター・ナビゲーターの詳細エコラボのウォーター・スチュワードシップに対するアプローチの詳細
Sustainable Water Icon

サステナブルな
水質バランス

ネット・ポジティブ・ウォーター

当社の事業における持続可能な水収支とスマートな水管理へのアプローチは、地域ごとの水に関わるネット・ポジティブ・インパクトを実現するための重要な要素です。これらの企業目標に沿って、各地域のチームでは、2018年から2030年にかけて、施設における生産量 1 トン当たりの年間水使用量を毎年 40% 削減することを目標に掲げました。エコラボのプラセンシア施設のチームは、2030年までにプラス効果を生み出すという目標達成に向けて、全施設のオペレーションで定期的に水使用量削減の機会を評価しています。水使用量削減プロジェクトの実施は、リスクの確率と施設レベルおよび地域の利害関係者への影響に基づいて優先順位が決定されました。

Quality Water Icon

水質

水質へのアプローチ

工業用水と排水の水質を良好に維持するため、工場内で毎日水質検査を行うほか、3ヵ月ごとに外部業者による排水検査も実施されています。排水は、PH 中和処理を経て、ファウンテンバレーにあるオレンジ郡衛生局の施設に送られます。流出や水関連の問題が発生した場合、同工場には問題に対するしっかりした対応計画があり、最初の事故の根本原因の分析、経営陣によるレビュー、内部報告プラットフォームでの文書化、月例の工場会議における緩和策についての話し合いなどが含まれます。

プラセンシア施設は2022年、オレンジ郡の前処理における優秀企業評価プログラムで認められ、銅賞を受賞しました。このプログラムでは、環境スチュワードシップに積極的に取り組んでいる産業施設が表彰されます。

Water Governance Icon

水管理

水管理のアプローチ

プラントレベルでは、プラントの技術責任者が、排水の検査、排出、PH の監視責任を負います。またプラントマネジャーが、排水許可に対するコンプライアンスをはじめ、排水の検査、規制対策の更新、排出、PH の監視を含めた排水オペレーション全体のコンプライアンスを担当します。施設の水関連のコンプライアンス情報は、ご要望に応じて入手可能です。これには、施設において将来的なインシデントの発生を防ぐために必要な是正措置も含まれます。さらに、エコラボの CDP 水セキュリティレポートでは、違反やそれに関する是正措置も開示しています。

全社レベルでは、最上級のビジネスリーダーと部門責任者で構成されるサステナビリティ・エグゼクティブ・アドバイザリー・チーム(SEAT)が、サステナビリティ・チームを指導するとともにアドバイスを提供します。また、エコラボのサステナビリティウォーター・スチュワードシップおよび安全衛生・環境(SHE)に対する見解は公開されており、水関連の問題とコンプライアンスに対するエコラボの取り組みおよびガイダンスの役割を果たしています。    エコラボのサステナビリティに対する見解は、社内でのサステナビリティに関するグローバルな取り組み、およびお客様への影響を具体化するものです。  エコラボのウォーター・スチュワードシップに関する見解は、事業やコミュニティ、自然のためになる水資源の使い方を自社とお客様に対して確認するなど、責任あるウォーター・スチュワードシップへのエコラボのグローバルな取り組みを強化するものです。  エコラボの SHE ポジションは、グローバルな事業活動における、安全衛生環境に関する優れた慣行とパフォーマンスへのエコラボの取り組みについて概要を示しています。

 
Water Related Areas Icon

重要な水関連エリア

Safe Water Icon

水、除菌、衛生(WASH)


共同の取り組み

社内の業務改善に加え、エコラボのプラセンシア施設の外部ウォーター・スチュワードシップ活動も継続中です。これらの共通する主な水問題に対処するために、エコラボは、水域のその他の水使用者と共同で取り組みを進めています。

プラセンシアのチームは、ヨーバリンダ市水道局など地元の水道局との協力関係を構築・維持しながら、水に関する共通の課題や、リスク軽減のための戦略、集水域での取り組みについて定期的に話し合っています。

プラセンシアのチームは、Huntington Beach Wetlands Conservancy との水域の清掃など、将来的に参加できるボランティア活動や奉仕活動をいくつか特定しました。ハンティントンビーチの湿地帯は、特定された IWRA のひとつです。

2005年以降、COI 施設が立ち上げた地域のエコラボ財団の非営利助成金プログラムは、青少年教育、市民育成、コミュニティ開発(食料、住宅、人材開発などの基本的なニーズ)、環境保全、芸術文化など、エコラボ財団が注力する分野に一致した地域の非営利団体を支援しています。

2023年には、支給された助成金の 18%で、Orange County Coastkeeper および同団体が運営する、十分な支援を受けていないオレンジ郡の中学生と高校生に環境に関する実践的な教育を行うことに注力する WHALES プログラムのほか、地域の環境保護につながる在来種の木々や植物で緑道を育成するボランティアやその他の地域団体と連携する Nature for All などの環境保全非営利団体を支援しています。  これらの組織はどちらも、ボランティアと教育を通して IWRA の維持と改善を助ける集水域に拠点を置いています。その他の助成金には、Boys and Girls Clubs、Food Bank of Southern California、Project Scientist などの利害関係者団体が含まれます。

エコラボは、Water Resilience Coalition (WRC) の創設メンバーとしても活動を続けています。エコラボは2023年、WRC の主要な流域の一つ、当社施設の集水域のあるカリフォルニア州の「ベースン チャンピオン」として名乗りを上げました。エコラボはベースン チャンピオンとして、企業や非営利団体、政府機関を集結させ、California Water Resilience Initiative (CWRI) を立ち上げました。カリフォルニア州の水供給戦略に沿ったこのイニシアチブは、官民のパートナーシップを通して、同州で予測される水の供給不足を解消するための取り組みを強化・推進することを目的としています。2023年10月の発足以降、エコラボやイニシアチブの他のリーダーらは、地域における水使用量の削減、再利用、補給に対する企業の投資や関わりを必要とする、大きな影響力を持つプロジェクトのロードマップ作成に着手しました。CWRI は、カリフォルニア州が水に関する目標を達成するにあたり、企業がどのように貢献できるかを率先して示すことを目的としています。この重要なイニシアチブを通じて、エコラボはセクター全体と連携して、地域社会、経済、エコシステムのレジリエンス促進を図ります。

エコラボ財団は2023年、Bonneville Environmental Foundation、Sensor Industries、南カリフォルニア地域のその他の水に関わる機関と連携し、革新的なトイレの漏れ検出システムを使用して水の無駄に対処するために、Pacific Institute のプロジェクトに $157,000 を寄付しました。

2020年から2024年にかけては、米国南西部に影響をもたらす複数の水補給プロジェクトにエコラボ全体で資金を提供し、それらを遂行しました。Colorado River Indian Tribes (CRIT) System Conservation Project などの補給プロジェクトにより、当社の集水域にある主な水源の水不足宣言による影響と重大性を低く抑えるため、エコラボは利害関係者と連携することが可能になりました。

エコラボは、California Water Action Collaborative(CWAC)に関わっており、South Coast working group(CWAC 内)にも参加しています。エコラボチームは毎月の会議に参加することで、カリフォルニア州で共通の水問題と取り組みについて情報を収集しています。エコラボは全社的な補充目標に沿った、地域でともに取り組める共同行動プロジェクトを意欲的に模索しています。

エコラボは、ワシントン D.C. の公共政策水資源グループのメンバーであり、カリフォルニアに重点を置いた水資源政策を提唱しています。エコラボは複数の講演や AWS のウェビナーを通じて自社のウォーター・スチュワードシップ戦略を共有し、他の大規模な多国籍企業に AWS への参加を促すことで、アライアンス・フォー・ウォーター・スチュワードシップのグローバルな活動を引き続き支援していきます。

現地でのウォーター・スチュワードシップの取り組みに加えて、エコラボのグローバルな寄付プログラムである Solutions for Life は、The Nature ConservancyProject WET Foundation とのパートナーシップやその他のプロジェクトを通して、淡水を保全・保護するという同社の使命を際立たせています。  


このケーススタディは、AWS の指標 5.1.1、5.2.1、5.3.1. 5.4.1、5.4.2、5.5.1、5.5.2、5.5.3 に準拠して作成されています。プラセンシア施設に関する詳細は、ご要望に応じて入手可能です。  詳細については、sustainability@ecolab.com までお問い合わせください。


関連成功事例

お客様と協力して最大の課題も解決。

これはカルーセルです。「次へ」ボタンや「前へ」ボタンを使用して操作するか、スライドの点をクリックして特定のスライドを開くことができます。

関連する記事は見つかりませんでした