加速するワクチン製造と、高まる衛生の重要性
この一年にワクチン製造業が直面した要求について振り返ることが大切です
この記事は Pharmamanufacturing.com に掲載されました。
今、多くの人が COVID-19 のワクチンが生活にプラスの効果をもたらすことを認識し始めています。効果的な開発の拡大や世界的パンデミックへの対応に際して、ワクチン製造業がこの一年で直面した要求について振り返ることが重要です。そうすることで、GMP(適正製造基準)環境の様々な部分を見直すとともに、安全性と品質の一貫性を保つための修正にもなります。
製造機器や、人の流れ / 衛生に関する慣行などを変更すると、洗浄剤や除菌剤を調達するにあたって、より多くのオプションが求められます。また、正式な変更管理対策を行えば、医薬品メーカーのスケールアップの能力を高めることにもなります。
従業員の安全と最終製品の品質は重要であり、作業環境のペースが早くなってもマイナスの影響があってはなりません。需要の拡大に対応するためには、導入済みのシステムと手順に変更を加える必要があります。
人的要因
製造環境が大きく変化すれば、人間の行動も影響を受けます。たとえ一貫性を維持する感覚や意識が高くても、人間は衛生慣行を左右する行動の主体であり、受け手でもあります。このパンデミック下で一般に推奨されている衛生慣行のほとんどが、製造施設で働いているあらゆる人に応用できます。
手指の衛生を実践する場所は、オペレーターと生産とは関係ない作業員(契約スタッフを含む)が共有していることが多く、交差汚染のリスクが高いことから、手指消毒剤を使って頻繁に(施設のプロトコルに従って)手洗いを励行しなければなりません。
適切な製造エリアへの立入禁止については、見えやすいように(標識などで)示す必要があり、体調の悪い人は製造エリアに入るべきではありません。現在のパンデミックにおいては、ワクチンの接種を終えているかどうかに関わらず、マスクを着用して安全な距離を確保するよう推奨されています。どのような医薬品工場にも、健康と衛生のための良好な慣行が必要です。
衛生慣行を強化するためのもう1つの重要な手法として、場所 / 活動に応じてガウンや手袋など適切な保護具を使用することが挙げられます。クリーンルームでは滅菌済みのガウンや手袋の着用が義務付けられていますが、オペレーションの規模が拡大すると、それらを交換する頻度はなかなか守られていません。オペレーションの規模が拡大した場合は、手袋とガウンをいつどのように交換するか見直すべきで、オペレーター(特にクリーンルームのオペレーター)のトレーニングと手順には曖昧な点を残さないようにします。繰り返し使うガウンや白衣が義務付けられている場所では、個人間の交差汚染が起こらないよう修正の必要があるかどうか評価しましょう。また契約スタッフは、滅菌されていないエリアで交差汚染の原因になり得るため、ガウンの着用を守っているかどうかより慎重にチェックするのも賢明です。
製造現場
製造施設の生産エリアと補助エリアはインフラの一部で、その役割は GMP 環境において製造過程にある製品が保護されるよう徹底することです。COVID-19 のワクチンの製造には、世界各地で様々なモデルが用いられています。調合から完成、充填、保管までのあらゆる製造工程に、明確で効率的かつ効果的なクリーニング・除菌プログラムを導入することが求められます。新しい機器や異なる材料を使用することになったり、人の流れが変わったりと、製造過程で何らかの変更があった場合は、クリーニング・除菌プログラムを見直して、汚染防止戦略が変わらず有効であることを確認しましょう。標準的な変更管理プロセスなら、これを文書化することができます。
オペレーション拡大時の初期の重要なステップは、クリーニング・除菌製品への需要の増加にサプライチェーンがしっかり対応できるようにすることです。二次サプライヤーは、製薬産業で原材料を調達するための不可避な存在で、現状においてはクリーニング剤や除菌剤にも同じことが言えます。
施設で新しいタイプの製品(ワクチンなど)を製造したり、2 つの異なる製品を交互に生産する場合は、広い表面の様々な除染方法を検討するのが良いかもしれません。どんな規模であって新規の建設では、よりスピーディで自動化された手法(過酸化水素蒸気など)を考慮するのも良いでしょう。
機器や工程の変更で小さな表面の除染を見直す場合は、手作業による各種クリーニング・除菌方法を検討し、ドライワイプやスプレーではなく、ウェットタイプのワイプなどを使用するようにしてください。洗浄および除菌の実践については、定評のある除菌剤サプライヤーからアドバイスを受けることもできます。
製造に対する需要が高まると、積極的な管理体制がなければ、現行の GMP 体制に負担がかかります。工程の変更にあたっては、事前に洗浄・除菌プログラムと合わせて他の点も検討しましょう。 文書化や、材料の取り扱いおよびラベル付け、人の流れの増加、廃棄物の除去、調整、その他 GMP 関連の様々な活動は、リスク評価の早い段階で検討しなければ、コンプライアンス上の課題になりがちです。
概して、オペレーションやそれをサポートする人員に対して検討中の変更や、導入済みの変更を時間をかけて評価することは堅実と言えます。常に時間に追われているとはいえ、製品の品質と人員の安全は、当然の結果として達成されなければなりません。しっかりした準備とコミュニケーション、そして慎重な評価が、必要とされている成果を達成する上で大きな力になります。