EudraLex の改訂版 Annex 1 規制の重要性とエコラボによるサポートについて

EudraLex の Annex 1『The Rules Governing Medicinal Products in the European Union (EU における医薬品の統括規則)』は、無菌製品の製造・発売に関する EU ガイドラインの第 4 巻の一部を構成するものです。

Looking down on a table in a lab - the new Annex 1 regulations

本 Annex の改訂は、公的機関や規制当局により長い時間をかけて審査されてきましたが、 4 年以上にわたる審査と協議の末に、最終版が発行されました。 

最初の公開版には、企業や専門組織から 6000 件を超えるコメントが寄せられました。2 年にわたる長い審査プロセスの結果、Annex の草稿改定案である第 12 版が発行されました。これには、大幅に短縮されたものの、さらなる協議が重ねられました。Annex の発行をもって、企業にはコンプライアンスを満たすために 12 か月間の期限(通常は 6 か月間)が与えられました。

Annex は、PIC/S グループの参加と審査に基づき、EU 市場以外の施設や企業に影響を与えることになります。たとえば、FDA では、現地視察の際に Annex 1 の一部を考慮するとみられています。 

本 Annex には、包括的な更新および改訂が行われたため、無菌製品の製造元にはこれらの変更による影響が広く及ぶことになります。なかでも大きな変化は、施設の汚染管理戦略(CCS)の要件です。CCS は、ICH Q9 に沿った現行の製品とプロセスのリスク評価を組み合わせ、それを品質管理システム(QMS)に連携させたものです。特筆すべき点は、CCS は、EM の結果、逸脱からお客様の苦情までの一連の指標に基づき、施設がリスクプロファイルの変更について行動を起こせるよう、フィードバックループを提供するしくみになっていることです。

CCS の概念は、EU 市場に限定されていません。CCS という略称は、改訂版 Annex 1 と強いつながりがありますが、これにまつわる概念は業界にとって新しいものではありません。CCS の別名は、業界で少し前に話題となった「リスクベースの製造」でもあります。PDA が CCS の実施を支援する技術文書の草案を作成するなど、業界に対するサポートも準備されています。

ほとんどの施設では、これらのプロセスの大半がすでに取り入れられており、施設内の異なるシステムと連動させることが焦点となるでしょう。ただし、一部の施設ではプロセス間でギャップが生じたり、CCS の特定部分を実施することに迷いがあるかもしれません。

CCS の基本的なしくみは、微生物汚染の予防と制御です。汚染源の調査、修復、稼働停止、不良バッチなどが発生する前に、製品やプロセスが微生物によって汚染されないよう、適切な制御によって微生物を除去するのが望ましい方法です。

Annex 1 CCS の大部分は、スタッフのトレーニングと教育、クリーンルームの設置、環境モニタリングを通した微生物制御について詳述しています。微生物制御の 2 つの重要な要素は、クリーンルームの洗浄・除菌とアイソレーター技術の使用です。洗浄と除菌について、CCS では、ほとんどの施設に適用可能な主な特徴について説明しています。ここでは、それらの特徴のなかでもより重要性の高いものについて簡単に説明します。

Technician using an Ecolab disinfectant in a cleanroom

まず考慮すべき点は、「洗浄と除菌」という用語です。Annex には、表面に付着した物理的・化学的汚染を除去するための洗浄がプロセスの一部となっています。汚染は、製品の品質に直接的なリスクをもたらしたり、以降の除菌作業が効果的に作用するのを妨げたりする可能性があります。除菌とは、洗浄を補完するもので、表面に付着した微生物による汚染を除去するために、清潔な表面に除菌剤や殺菌剤を塗布することを指します。

それぞれの施設では、選択した薬剤を検証し、薬剤が対象の無菌室の表面に付着した微生物に対し、その場所で検証された接触時間において効果的であることを実証する必要があります。

また、除菌剤をローテーションで使用するという要件も Annex に規定されています。これは、クリーンルーム環境で遭遇するすべての微生物を殺菌できる、各種除菌剤を施設が備えているよう徹底することが目的です。実際には、大半の施設において 1 種類の汎用性が高いバイオサイドを、殺胞子剤と交互に使用することが要件となることを意味します。

最後に、高レベルのクリーンルームに原材料や消耗品を移送することは、クリーンルームにバイオバーデンを持ち込むリスクを伴います。移送の際の除菌プロセスが適切でないことがその原因で、業界では汚染の要因として指摘されがちです。

Technician using an Ecolab disinfectant in a cleanroom

アイソレーター技術は、施設の CCS において不可欠な部分です。しかし、クリーンルームのオペレーションと同様に、アイソレーターの操作手順、設定もしくは検証に不備があると、グレード A 環境下で微生物汚染が発生する可能性があります。

アイソレーターの運用は、3 つのカテゴリーに分類されます。1 つ目は、無菌ファイリングのオペレーションもしくは無菌テストの実施など、グレード A 環境での運用です。2 つ目は、アイソレーターをガスで除染し、グレード A 環境を維持することです。3 つ目の最終ステージは、非無菌の環境下でアイソレーターを洗浄・充填することです。

Ecolab Bioquell equipment

アイソレーターの洗浄・充填は、高いリスクを伴う手順であり、CCS により汚染のリスクを軽減できる作業でもあります。オペレーターが非無菌アイソレーターを扱うことは、汚染リスクの高い作業とみなされます。

すべての施設が、CCS の全項目を理解するために専門家を利用できるわけではありません。そのため、必要不可欠な技術的専門知識を提供できるサプライヤーをぜひお役立てください。エコラボ ライフサイエンスでは、業界に認められた専門家が、ギャップ評価やリスク評価のいずれか、もしくはギャップを解消するための CAPA の実施を通して、お客様の施設の CCS の策定をお手伝いいたします。微生物学者から化学担当エンジニアまで、当社の専門家が、お客様の洗浄・除菌オプションや、アイソレーター技術を使用した汚染制御をサポートします。


注:殺菌作用のある化学薬品については、世界的に異なる用語が使用されています。Annex 1 では、除菌 / 除菌剤という用語を使用していますが、消毒 / 消毒薬という用語も該当する場合があります。

Ecolab Life Sciences logo

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