見た目がきれいなだけでは不十分 - 製造工場の例

執筆者:Susan Youngquist(スーザン・ヤングクイスト)、エコラボ テクニカルコンサルタント兼バリデーションマネジャー

Tanks in a Personal Care and Cosmetics manufacturing plant

つい先日、日焼け止めを配合した化粧品やフェイスクリームを製造する世界的な化粧品会社と仕事をする機会がありました。洗浄剤を置き換え、クリーニングプロセスを修正することで、洗浄効果と従業員の安全性を向上させることが目的でした。 洗浄には容器の設計や補助装置に応じて、自動洗浄サイクルと手動洗浄手順の両方が用いられました。このメーカーは、洗浄のばらつきを減らすため、製品の種類に関係なく、自動および手動 2 つの洗浄手順を必要としていました。新しく導入される洗浄手順は、活性残基や洗剤の残留物といった検証基準を満たす必要がありました。

改良された洗浄手順は、問題なく自動装置に導入することができました。最も洗浄が困難な製品の洗浄順序が明確に決められ、スワブ検査で残留物を検証した後、洗浄順序がシステムに組み込まれ、実施されました。新しい自動化プロセスは、旧来のプロセスと比べて速く、手作業の介入も少なくて済むため、オペレータにすんなり受け入れられました。全般的なプロセスは、低濃度の洗剤で事前にすすぎ洗いを行った後、一次洗浄工程に進み、最後に洗浄水と汚れを除去するためのすすぎ洗いを行うというものでした。

問題は、手作業によるクリーニング作業全体に、一貫したプロセスを導入することでした。扱う製品には、さまざまな不透明度と幅広い色の化学薬品系の日焼け止めとミネラル由来の日焼け止めが含まれていました。従来の手動洗浄の手順は、器具の見た目がきれいになるまで洗浄、こすり洗い、すすぎを繰り返すというものでした。一般的に、ミネラル由来の日焼け止めを含まない製品では、追加洗浄の有無を判断する目安として、「目視できれい 」という基準を設けていたため、洗浄の繰り返しが少なくて済みました。洗浄を一回で済ます、あるいはサイクルを複数回繰り返すかは、オペレーターの裁量に任されていました。

新しい洗浄基準では自動化手順と同様に、希釈した洗剤で予洗した後、一次洗浄とすすぎが行われました。この洗浄プロセスは工場現場で検証が行われ、ミネラルと化学活性剤の両方に対する活性剤残留テストによって実証されました。問題は、さまざまなオペレーターによるクリーニング作業のバリデーション中に発生しました。オペレーターの中には、目視できれいという昔ながらの基準に従う人もいたのです。洗浄が簡単そうに見えるローションも、予洗によって目に見える残留物が取り除かれました。そこでオペレーターは機器を予洗した後、すすぎ、乾燥を行いました。QA(品質管理)担当者が残留物のスワブ試験を実施したところ、機器は清潔に見えたにもかかわらず、化学品由来の日焼け止め有効成分が高いレベルで存在していました。

調査の結果、新しいプロセスが遵守されていなかったことが判明したのです。化学品由来の日焼け止めの残留物は目には見えませんでしたが、明らかに存在していました。洗浄が不十分だと、次の製造バッチが汚染される可能性があります。このプロセスの失敗により、たとえ目視検査で追加洗浄は必要ないと判断したとしても、標準手順に従うことが重要であるとチームに理解してもらうための教訓的な例として示すことができました。この場合、「見た目がきれい 」であることは重要ですが、それだけでは製品の品質を保つには不十分でした。




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