エコラボのサンティアゴ工場(チリ)
ウォーター・スチュワードシップのリーダーに認定
2024年12月発行
見識
エコラボは、水関連ソリューションおよびサービスのグローバルリーダーとして、スマートな水管理、保全、スチュワードシップを通じて、安定して水を確保できる未来づくりに取り組んでいます。当社は以下を実践しながら、2030年までに、水に関わるネット・ポジティブ・インパクトを引き続き実現していく予定です。
- 運営施設における水の削減、リサイクル、補給。当社は、2018年を基準として、水資源への影響を全社で生産単位あたり 40% 削減することを目標としています。
- リスクの高い施設で絶対取水量の 50% 以上を再利用することで、地域の水域を保護する。
- 高リスク流域に位置するエコラボの製造施設で、アライアンス・フォー・ウォーター・スチュワードシップ(AWS) の水準を満たし、AWS 認証を取得することで成果を達成する。
チリのサンティアゴ、ランパ地区にあるエコラボの製造施設は、こうした目標達成に大きく貢献しています。エコラボのサンティアゴ施設では主に、マイポ川流域で重要なマイポ - マポチョ帯水層から直接汲み上げた水を利用しています。エコラボは地下水採取の権利を保有しており、敷地内にある井戸から水を汲み上げる独自のシステムを運用しています。サンティアゴの施設には、活性汚泥を用いた連続回分反応器(SBR)を使用して有機物を減らし、家庭排水を処理する専用の排水処理施設が敷地内にあります。処理・浄化された水は、規制基準を満たすよう塩素処理と脱塩素処理によって殺菌されます。ここで処理された水は防火システムに回収され、再利用されます。工場排水は、特定の残留物を処理する Bravo Energy によって外部で管理されています。
サンティアゴ施設は、AWS 認証の取得、工場におけるスマートな水管理アプローチの強化、革新技術の導入といった水をめぐる全社的な目標推進のための優先的拠点に指定されました。
活動
企業規模の水に関する目標達成に向けて、現地のチームは、2018年から2030年にかけて、生産量 1 トン当たりの年間使用量を 40% 削減することを目標に掲げました。
施設の水バランスの改善に向けて以下のプロジェクトを立ち上げ、全体的な水使用量を削減するために実践しています。
- 工業用逆浸透前処理システムの最適化。
- 水使用量の監視体制を強化することで、漏水修理プロジェクト対象場所を特定して修理を完了。
- バッチ生産計画を改善することで、ミキサー洗浄を削減。
成果
サンティアゴ施設における改善は、同施設の操業効率アップとエコラボのサステナビリティ目標達成に向けた大きな一歩であることが証明されました。
地域の水域の全体的な健全性を向上させる目的で、また、2030年ポジティブインパクト達成に向けたエコラボの取り組みの一環として、当社は事業を展開する高リスクな水域で AWS 認証取得を優先しています。
ウォーター・スチュワードシップのこれまでの経緯
エコラボは、自社施設でのサステナブルな水使用に加え、地域レベルで他の企業と協力する取り組みを進めています。製造施設全体における水管理に対する包括的なアプローチへのエコラボの取り組みに沿って、当社はサンティアゴ製造施設にて、アライアンス・フォー・ウォーター・スチュワードシップ(AWS)バージョン 2.0 国際水基準のコア認定を取得することを目指しています。
マイポ川流域における共通の水問題を特定するため、エコラボのスマート・ウォーター・ナビゲーターと世界資源研究所(WRI)の Aqueduct Atlas の知見を活用して、総合的なリスク評価を実施しました。水使用量削減プロジェクトは、リスクの確率と施設レベルおよび地域の利害関係者への影響を鑑みつつ、優先順位付けされました。
エコラボのウォーター・スチュワードシップによるアプローチは、自社の業務内だけでなく、当社が事業を展開する地域内における水問題にポジティブな影響をもたらすことを目標としています。サンティアゴ施設と地元の利害関係者が抱える水に関する主な課題には、帯水層における水ストレスおよび水不足、水質(帯水層の汚染を含む)、衛生インフラを利用できない地域、流域内の生態保護地域の被害、洪水などがあります。
こうした問題に効果的に対処するために、ウォーター・スチュワードシップ・アプローチに積極的に取り組むことで、持続可能な敷地内での水収支と水質の継続的な改善を目指しています。当社の包括的なアプローチには、重要な水関連エリアと水、除菌、衛生(WASH)への重点的な取り組みが含まれており、これらすべての重要分野で継続的に前進していくには、積極的な水管理がカギとなります。
エコラボ・スマート・ウォーター・ナビゲーターを使って AWS の 5 項目の進捗状況を数値化すると、サンティアゴの施設は、水成熟度曲線で「ウォータースマート」 となります。水成熟度曲線は、施設の水戦略および管理計画の状態を数値化して図に表したものです。曲線上に示された施設の位置は、水管理と戦略、目標設定、水管理の実践、ウォーター・スチュワードシップを含む一定の基準によって決定されます。この基準には、AWS フレームワークの 5 つの目標に沿った原則が盛り込まれており、どちらも、確実な水管理を行うためには施設のオペレーションの内外において継続的な改善と連携が必要なことが強調されています。
サステナブルな
水質バランス
ネット・ポジティブ・ウォーター
当社事業における持続可能な水収支とスマートな水管理へのアプローチは、全社的な水に関わるネット・ポジティブ・インパクトを実現するための重要な要素です。これらの企業目標に沿って、各地域のチームでは、2018年から2030年にかけて、施設における生産量 1 トン当たりの年間水使用量を毎年 40% 削減することを目標に掲げました。エコラボのサンティアゴ施設のチームは、2030 年ポジティブ インパクト目標達成に向けて、すべてのオペレーションで水使用量を削減できる機会を定期的に見直しました。水使用量削減プロジェクトの実施は、リスクの確率と施設レベルおよび地域の利害関係者への影響に基づいて優先順位が決定されました。
水質
水質へのアプローチ
サンティアゴ施設では、高い水質を維持するため、重要なパラメータを測定するセンサーを使用して、逆浸透の水質を継続的に監視しています。施設内の飲料水については、主要な配水地点で遊離残留塩素を毎日検査することを義務付けています。さらに毎年、認可された研究所によって水源の物理化学的・細菌学的分析が実施されています。
各施設では、雨水と排水を放出する前に、排水を目視で検査してテストを行い、地域の環境要件、許可限度、または会社の基準を満たしていることを確認する必要があります。地域の環境要件や許可制限がない場合に、隣接する水路へ雨水を排出したり、都市下水路へ排水を放出する際には、会社の基準を満たす必要があります。同施設には、流出や水関連の問題が発生した場合における万全な対応計画が用意されており、最初の事故の根本原因の分析、内部報告プラットフォームでの文書化、緩和策についての話し合いなどが行われます。現場における水関連のコンプライアンスに関する情報は、ご要望に応じて提供可能です。
水管理
水管理のアプローチ
工場レベルでは、安全衛生環境(SHE)部門が排水コンプライアンスを担当し、SHE リーダーがその責任者を務め、工場管理者が最終責任を負います。規制の最新情報や排水コンプライアンスに関するお問い合わせは、エコラボの環境責任者までご連絡ください。さらに、SHE リーダーは、エコラボの内部グローバルサプライチェーン環境方針および該当する外部規制に従って、水監視要件に対する責任を負います。規制の最新情報や排水コンプライアンスに関するお問い合わせは、エコラボの環境責任者までご連絡ください。施設の水関連のコンプライアンス情報は、ご要望に応じて入手可能です。これには、施設において将来的なインシデントの発生を防ぐために必要な是正措置も含まれます。
会社の最上級ビジネスリーダーと部門責任者で構成されるサステナビリティ・エグゼクティブ・アドバイザリー・チーム(SEAT)が、本社サステナビリティ・チームを指導するとともにアドバイスを提供します。加えて、エコラボのサステナビリティ、ウォーター・スチュワードシップおよび安全衛生環境(SHE)に対する見解は、一般公開されており、水に関する問題やコンプライアンスへの取り組み、またガイダンスの役割を果たします。エコラボの サステナビリティに対する見解は、社内でのエコラボのグローバルなサステナビリティに関する取り組み、およびお客様への影響を具体化するものです。エコラボのウォーター・スチュワードシップに関する見解は、企業として、またお客様が水資源を事業、コミュニティ、そして自然に良い方法で利用することで、責任あるウォーター・スチュワードシップに対するエコラボのグローバルな取り組みを強化します。エコラボの SHE ポジションでは、グローバルな事業活動において、安全衛生環境に関する優れた活動とパフォーマンスを実現するためのエコラボの取り組みについて説明しています。
重要な水関連エリア
水、除菌、衛生(WASH)
共同の取り組み
エコラボ サンティアゴ施設では、社内の業務改善に加え、外部でのウォーター・スチュワードシップ活動も継続的に進めています。工場と関連する地元の該当する利害関係者が抱える水に関する主な共通の課題には、帯水層における水ストレスおよび水不足、水質(帯水層の汚染を含む)、衛生インフラを利用できない地域、流域内の生態保護地域の被害、洪水などがあります。こうした共通の課題に対処するため、エコラボは流域内の他の水利用者とも連携しています。
エコラボは2024年にボンネビル環境財団と提携し、マイポ流域における水使用量削減プロジェクトを実施しました。このプロジェクトは複数年にわたり、農地の灌漑システムを標準的な灌漑から点滴灌漑またはピボット灌漑へ転換することを促します。このプロジェクトは、流域の限られた都市用水と農業用水の確保に役立ちます。効率的な水の使用は、地域の生態系のバランスを維持し、飲料や公衆衛生など他の重要な用途で水を確実に利用できるようにするうえで非常に重要です。
地域のウォーター・スチュワードシップの取り組みに加え、エコラボのグローバル寄付プログラム 「ソリューション・フォー・ライフ」は、TNC およびプロジェクト WET 財団とのパートナーシップやその他のプロジェクトを通して、淡水を保全・保護する当社の使命を着実に果たしています。
このケーススタディは、AWS の指標 5.1.1、5.2.1、5.3.1. 5.4.1、5.4.2、5.5.1、5.5.2、5.5.3 に準拠して作成されています。詳細については、sustainability@ecolab.com までお問い合わせください。