エコラボのカーソン工場(カリフォルニア州)がウォーター・スチュワードシップのリーダーに認定

エコラボのカーソン工場(カリフォルニア州)
ウォーター・スチュワードシップ・リーダーの認定を取得

アライアンス・フォー・ウォーター・スチュワードシップ(AWS)基準のケーススタディ
2016年12月発行 | 2024年8月改訂

見識

エコラボは、水関連ソリューションおよびサービスのグローバルリーダーとして、スマートな水管理、保全、スチュワードシップを通じて、安定して水を確保できる未来づくりに取り組んでいます。当社は以下を実践しながら、2030年までに、水に関わるネット・ポジティブ・インパクトを引き続き実現していく予定です。

  • 運営施設における水の削減、リサイクル、補給。当社は、2018年を基準として、水資源への影響を全社で生産単位あたり 40% 削減することを目標としています。
  • リスクの高い施設において、絶対取水量の 50% 以上を再利用することで地域の水域を保護する。
  • 高リスクの水域に拠点を置くエコラボの製造施設でアライアンス・フォー・ウォーター・スチュワードシップ(AWS)認証を取得することで、AWS 標準を通じて成果を達成する。カリフォルニア州カーソンにあるエコラボの製造施設が、この目標達成に向けて中心的な役割を果たします。カーソン工場では、主に水処理用化学混合物、ポリマー、ブレンド油、アンチモン、紙用添加剤を生産しています。

エコラボのカーソン工場は、北カリフォルニアとコロラド川から水を調達するカリフォルニア水道会社からの水に依存しています。その他の水源には、地元の地下水や製造工場自体からの再生水が含まれます。エコラボのカーソン工場は、ロサンゼルス郡広域圏の流域、サンガブリエル支流域にあります。水は、カーソンにある共同水質汚染制御工場(JWPCP)で処理された後、排出されます。JWPCP で処理された水は、パロスバーデス半島から太平洋に流されます。エコラボによる 2014 年度リスク評価の後、カーソン工場は、AWS 認証取得への取り組み、工場のスマートな水管理へのアプローチ、企業の水に関する目標を進めるための革新技術の導入に向けて優先すべき拠点に指定されました。

活動

企業規模の水に関する目標達成に向けて、現地のチームは、2018年から2030年にかけて、生産量 1 トン当たりの年間使用量を 40% 削減することを目標に掲げました。

施設の水バランスの改善に向けて以下のプロジェクトを立ち上げ、全体的な水使用量を削減するために実践しています。

  • ボイラー給水タンク、逆浸透装置、冷却塔、脱イオン水システムに体積流量計を設置することで、現場での水使用量をより正確に把握。
  • 冷却塔ボイラにナルコ ウォーター 3D TRASAR™ 技術を導入。
  • 全工場の従業員から節水のアイデアを集めることを目的とした、アイデア収集システムの導入。これにより、すべての従業員が水を共有資源として捉えるようになり、毎月実施される業務報告でも全社的な節水のための議論を促すことができます。
  • 製造された製品の最初の洗浄水を回収し、再利用する洗浄水プログラムを継続的に実施。
  • 造園用の水使用量を削減。
  • 現場での水の安全計画の見直しと再開を実施。
  • バッチ間の流出を最小限に抑えるために、タンクの洗浄を自動化し、生産スケジュールを最適化。
  • 補充時に発生する流出量を減らすため、ドライフロアポリシーを採用。

成果

こうした取り組みの結果、カーソン工場では、水とエネルギー使用量の削減を達成しました。工場における改善は、工場の操業効率アップとエコラボのサステナビリティ目標達成に向けた有意義な一歩となったことが実証されました。

注目のソリューション

エコラボのソリューションとデジタル技術を活用することで、カーソン製造工場における水使用量の削減、再利用、リサイクルを実現。

AWS Certification Plant Imagery


地域の水域の全体的な健全性を向上させる目的で、また、2030年ポジティブインパクト達成に向けたエコラボの取り組みの一環として、当社は事業を展開する高リスクな水域で AWS 認証取得を優先しています。

Water Governance Icon

健全な水の
ガバナンス

Sustainable Water Icon

サステナブルな
水質バランス

Quality Water Icon

健全な水の
水質状況

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重要な水関連分野

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水、除菌、衛生
(Water, Sanitation, Hygiene: WASH)

ウォーター・スチュワードシップのこれまでの経緯

エコラボは、自社施設でのサステナブルな水使用に加え、地域レベルで他の企業と協力する取り組みを進めています。エコラボが取り組む製造施設全体における水管理の包括的アプローチに沿って、当社は2016年にアライアンス・フォー・ウォーター・スチュワードシップ(AWS)国際水基準をカーソン工場で実践することを決定し、2020年にはバージョン 2.0 を導入しました。当施設では、コア認定を維持するために、AWS の要件に関する最新情報を常に把握しています。

サンガブリエル支流域における共通の水問題を特定するため、エコラボのスマート・ウォーター・ナビゲーター世界資源研究所(WRI)の Aqueduct Atlas からの知見を活用して総合的なリスク評価を実施し、施設レベルならびに共通の水問題を明らかにしました。  

エコラボのウォーター・スチュワードシップによるアプローチは、自社の業務内だけでなく、当社が事業を展開する地域内における水問題にポジティブな影響をもたらすことを目標としています。工場と関連する地域の利害関係者の間における主な共通の問題には、既存の水源での積雪量の減少による水不足、水インフラの老朽化、都市部からの水の流出、水質問題、地下水の過剰揚水、地下水への塩水の侵入、さらに湿地帯や種の喪失などが挙げられます。その他の共通する問題には、地震のリスクや山火事などがあります。主な共通の問題に対処するため、エコラボは同水域内で水を使用する他の施設と協力しています。そのうち 2 つはエコラボの施設で、1 つはカリフォルニア州のプラセンシア、もう 1 つは同じくカリフォルニア州のシティ・オブ・インダストリー(COI)にあり、後者は AWS の認証を取得しています。

こうした問題に効果的に対処するために、エコラボのウォーター・スチュワードシップ・アプローチには、AWS 標準で定められている 5 つの成果に向けた進捗の推進が盛り込まれています。エコラボは、施設の水収支水質の改善に継続的に取り組んでいます。事業範囲にとどまらない当社の包括的戦略には、地域の重要な水関連エリア(IWRA)および水、除菌、衛生(WASH)も含まれます。これらの主な重点分野に対する継続的な取り組みにおいては、施設や事業全体にわたる確実な水管理がカギとなります。

エコラボのスマート・ウォーター・ナビゲーターを使用して AWS に対する 5 つの成果を数値化すると、カーソン工場は、水成熟度曲線上で「ウォーター-スマート」であることが分かります。水成熟度曲線は、施設の水戦略と水管理計画の状況を数値的に示します。曲線上に示された施設の位置は、水管理と戦略、目標設定、水管理の実践、ウォーター・スチュワードシップを含む一定の基準によって決定されます。この基準には、AWS の枠組みの 5 つの成果に沿った原則が組み込まれており、どちらも、確実な水管理には、継続的な改善と施設で行う事業の内外での協力関係が含まれることが強調されています。

エコラボのスマート・ウォーター・ナビゲーターの詳細エコラボのウォーター・スチュワードシップに対するアプローチの詳細
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サステナブルな
水質バランス

ネット・ポジティブ・ウォーター

当社の事業における持続可能な水収支とスマートな水管理へのアプローチは、地域ごとの水に関わるネット・ポジティブ・インパクトを実現するための重要な要素です。これらの企業目標に沿って、各地域のチームでは、2018年から2030年にかけて、施設における生産量 1 トン当たりの年間水使用量を毎年 40% 削減することを目標に掲げました。エコラボの 2030 年ポジティブ・インパクト目標を達成するために、エコラボのカーソン工場のチームは同施設を評価し、事業全体で水の使用量を削減する余地があるかどうかを検討しました。水使用量削減プロジェクトは、リスクの確率と施設レベルおよび地域の利害関係者への影響を鑑みつつ、優先順位付けされました。

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水質

水質へのアプローチ

工業用水と排水の水質を良好に維持するため、工場内で毎日水質検査を行うほか、3ヵ月ごとに外部業者による排水検査も実施されています。製造タンクの洗浄に使われる水は、排水される前に希釈および処理されます。さらに、フィルターを使用して排水をさらに浄水処理してから、下水処理施設に送られます。

流出や水関連の問題が発生した場合、同工場には問題に対するしっかりした対応計画があり、最初の事故の根本原因の分析、経営陣によるレビュー、内部報告プラットフォームでの文書化、月例の工場会議における緩和策についての話し合いなどが含まれます。施設のインシデント対応計画には、雨水を排水溝に排出する前に不純物を取り除くための追加のろ過手順が含まれます。

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水管理

水管理のアプローチ

工場レベルでは、施設マネジャーが排水の全体的なコンプライアンスと排水許可のコンプライアンスを担当し、排水の排出と PH を監視しています。メンテナンス責任者は、排水の検査、排水の排出と PH の監視を担当しています。プラントマネジャーは、排水コンプライアンス、排水の検査、規制対策の更新、排水の排出、および PH 監視の全体的な責任を負います。施設の水関連のコンプライアンス情報は、ご要望に応じて入手可能です。これには、施設において将来的なインシデントの発生を防ぐために必要な是正措置も含まれます。さらに、エコラボの CDP 水セキュリティレポートでは、違反やそれに関する是正措置も開示しています。

全社レベルでは、最上級のビジネスリーダーと部門責任者で構成されるサステナビリティ・エグゼクティブ・アドバイザリー・チーム(SEAT)が、サステナビリティ・チームを指導するとともにアドバイスを提供します。加えて、エコラボのサステナビリティウォーター・スチュワードシップおよび安全衛生環境(SHE)に対する見解は、一般公開されており、水に関する問題やコンプライアンスへの取り組み、またガイダンスの役割を果たします。エコラボの サステナビリティに対する見解は、社内でのエコラボのグローバルなサステナビリティに関する取り組み、およびお客様への影響を具体化するものです。エコラボのウォーター・スチュワードシップに関する見解は、企業として、またお客様が水資源を事業、コミュニティ、そして自然に良い方法で利用することで、責任あるウォーター・スチュワードシップに対するエコラボのグローバルな取り組みを強化します。エコラボの SHE ポジションでは、グローバルな事業活動で安全衛生環境において優れた活動とパフォーマンスを実現するためのエコラボの取り組みを示しています。

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重要な水関連エリア

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水、除菌、衛生(WASH)


共同の取り組み

エコラボのカーソン工場では、社内のオペレーションの改善に加え、外部のウォーター・スチュワードシップ活動も継続中です。これらの共通する主な水問題に対処するために、エコラボは、水域のその他の水使用者と共同で取り組みを進めています。 

カーソン工場は、地元の水道会社 Calwater やウェストベイスン市水道局(WBWD)と力を合わせ、集水域との良好な関係を構築および維持しています。共通する水問題、リスク軽減のための戦略、集水域での取り組みについて話し合いの場を設けています。カーソン工場のチームは、ウェストベイスン市水道局(WBWD)のスタッフに工場を視察する機会を提供しました。
カーソン工場のチームは、Huntington Beach Wetlands Conservancy との水域の清掃など、将来的に参加できるボランティア活動や奉仕活動をいくつか特定しました。ハンティントンビーチの湿地帯は、特定された IWRA のひとつです。 

2005年以降、COI 工場が立ち上げた地域のエコラボ財団の非営利助成金プログラムは、青少年教育、市民育成、コミュニティ開発(食料、住宅、人材開発などの基本的なニーズ)、環境保全、芸術文化など、エコラボ財団が力を入れる分野に一致した地域の非営利団体を支援しています。

2023年には、支給された助成金の 18%で、Orange County Coastkeeper および同団体が運営する、十分な支援を受けていないオレンジ郡の中学生と高校生に環境に関する実践的な教育を行うことに注力する WHALES プログラムのほか、地域の環境保護につながる在来種の木々や植物で緑道を育成するボランティアやその他の地域団体と連携する Nature for All などの環境保全非営利団体を支援しています。  これらの組織はどちらも、ボランティアと教育を通して IWRA の維持と改善を助ける集水域に拠点を置いています。その他の助成金には、Boys and Girls Clubs、Food Bank of Southern California、Project Scientist などの利害関係者団体が含まれます。

エコラボは、Water Resilience Coalition (WRC) の創設メンバーとしても活動を続けています。エコラボは2023年、WRC の主要な流域の一つ、当社施設の集水域のあるカリフォルニア州の「ベースン チャンピオン」として名乗りを上げました。エコラボはベースン チャンピオンとして、企業や非営利団体、政府機関を集結させ、California Water Resilience Initiative (CWRI) を立ち上げました。カリフォルニア州の水供給戦略に沿ったこのイニシアチブは、官民のパートナーシップを通して、同州で予測される水の供給不足を解消するための取り組みを強化・推進することを目的としています。2023年10月の発足以降、エコラボやイニシアチブの他のリーダーらは、地域における水使用量の削減、再利用、補給に対する企業の投資や関わりを必要とする、大きな影響力を持つプロジェクトのロードマップ作成に着手しました。CWRI は、カリフォルニア州が水に関する目標を達成するにあたり、企業がどのように貢献できるかを率先して示すことを目的としています。この重要なイニシアチブを通じて、エコラボはセクター全体と連携して、地域社会、経済、エコシステムのレジリエンス促進を図ります。

エコラボ財団は2023年、Bonneville Environmental Foundation、Sensor Industries、南カリフォルニア地域のその他の水に関わる機関と連携し、革新的なトイレの漏れ検出システムを使用して水の無駄に対処するために、Pacific Institute のプロジェクトに $157,000 を寄付しました。

2020年から2024年にかけては、米国南西部に影響をもたらす複数の水補給プロジェクトにエコラボ全体で資金を提供し、それらを遂行しました。Colorado River Indian Tribes (CRIT) System Conservation Project などの補給プロジェクトにより、当社の集水域にある主な水源の水不足宣言による影響と重大性を低く抑えるため、エコラボは利害関係者と連携することが可能になりました。

エコラボは、California Water Action Collaborative(CWAC)に関わっており、South Coast working group(CWAC 内)にも参加しています。エコラボチームは毎月の会議に参加することで、カリフォルニア州で共通の水問題と取り組みについて情報を収集しています。エコラボは全社的な補充目標に沿った、地域でともに取り組める共同行動プロジェクトを意欲的に模索しています。

エコラボは、ワシントン D.C. の公共政策水資源グループのメンバーであり、カリフォルニアに重点を置いた水資源政策を提唱しています。エコラボは複数の講演や AWS のウェビナーを通じて自社のウォーター・スチュワードシップ戦略を共有し、他の大規模な多国籍企業に AWS への参加を促すことで、アライアンス・フォー・ウォーター・スチュワードシップのグローバルな活動を引き続き支援していきます。

現地でのウォーター・スチュワードシップの取り組みに加えて、エコラボのグローバルな寄付プログラムである Solutions for Life は、The Nature ConservancyProject WET Foundation とのパートナーシップやその他のプロジェクトを通して、淡水を保全・保護するという同社の使命を際立たせています。  

 

このケーススタディは、AWS の指標 5.1.1、5.2.1、5.3.1. 5.4.1、5.4.2、5.5.1、5.5.2、5.5.3 に準拠して作成されています。カールソン工場での AWS の取り組みの詳しい情報は、ご要望に応じて入手可能です。  詳細については、sustainability@ecolab.com までお問い合わせください。


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