エコラボのクアウティトラン・イスカリ工場(メキシコ)がウォーター・スチュワードシップのリーダーに認定
アライアンス・フォー・ウォーター・スチュワードシップ(AWS)基準導入のケーススタディ
2021年12月発行 | 2024年6月改訂
背景
メキシコのクアウティトラン・イスカリにあるエコラボの製造施設は、主に工業用の洗浄・除菌化学製品を製造するブレンド工場です。クアウティトラン・イスカリの施設では、リオ・クアウティトラン集水域を水源としています。処理後の排水は、クアウティトラン川に流れ込む公営の下水設備に排出されます。ハイリスクな製造施設全体における水管理に対して、エコラボは包括的な取り組みを進めています。その取り組みに沿って、当社はクアウティトラン・イスカリ工場でアライアンス・フォー・ウォーター・スチュワードシップ(AWS)国際水基準を導入しました。
背景
エコラボは、2030年ポジティブインパクト目標として、水資源への影響を全社で生産単位あたり 40% 削減し、リスクの高い施設では絶対取水量の 50% 以上を再利用することを掲げています。これらの企業目標に沿って、各地域のチームでは、2018年の基準値から生産量 1 トン当たりの年間取水量を毎年平均で 3.3% 削減することを企業目標に掲げました。また、施設の業務全体で水使用量を削減できないかさらに評価した結果、水強度を毎年 7% 削減するという目標を推し進めることに成功しました。
その結果、水を削減できそうな部分は、ホールドタンクと生産用タンクにおける洗浄、バルブのアップグレード、施設全体の予防メンテナンスであることが分かりました。これらの水削減のチャンスに優先順位を付けるには、コーポレート・サステナビリティ部門とクアウティトラン・イスカリにおけるエンジニアリングおよび安全衛生環境チーム全体の協力が必要でした。
総合的なリスク評価は、エコラボのスマート・ウォーター・ナビゲーター、世界資源研究所(WRI)の Aqueduct Atlas および WWF 水リスクフィルターから得られた知見を活用して実施され、共通の水問題と施設レベルの水問題を特定しました。取水量削減プロジェクトの実施は、リスクの確率と施設レベルおよび地域の利害関係者への影響に基づいて優先されました。AWS 基準の 5 つの成果のうち、クアウティトラン・イスカリ工場は、施設への関連性とリスクのバランスを考慮し、持続可能な水収支、良好な水質状態、好ましい水管理に焦点を当てました。
ソリューション
以下のプロジェクトは施設の水バランスの改善に役立つものであり、全体的な水の使用量を削減するために完了しています。
- オペレーション全体で使用するための雨水の収集と浄化システムの導入
- スプレーボールの交換により、洗浄効率の最適化と洗浄水の消費量削減を実現
- 処理設備の洗浄工程の最適化
- 逆浸透膜や脱イオンシステムの再生に使用する水の削減
- 高効率なバス・トイレ設備とバルブの導入
- ホールドタンク洗浄システムの改良
今後の強化策として、以下のプロジェクトが検討されています。
- 排水をリサイクルして工場内で再利用できるようにするため、排水処理を改善
- シンクの水損失を削減するため、バルブをアップグレード
- 様々なタンク洗浄水の再利用および回収プロジェクト
これらの取り組みにより、クアウティトラン・イスカリ工場では、前年比で水の使用量を 7% 削減するという目標に向けて着実に前進しています。
効果
-
水
47%2018年を基準年とした場合の水強度の削減実績 -
もたらされた価値の合計:
$19,800
リスク調整後の年間コスト削減額
ウォーター・スチュワードシップを推進するエコラボの立場は、責任あるウォーター・スチュワードシップに対するエコラボの世界的な取り組みを正式に表しており、ビジネスやコミュニティ、そして環境にメリットをもたらす方法で水資源を使用する機会を、エコラボとそのお客様に示しています。
パフォーマンス
クアウティトラン・イスカリ工場では、基準年である2018年と
比較して、水強度を 47% 削減しました。これはリスク調整後の
平均年間コスト削減額 $19,800 USD に相当します。
水管理
工場レベルでは、安全衛生環境マネジャーは排水試験とコンプライアンスに対する責任があり、廃水の排出について説明責任を負っています。工場のメンテナンス責任者は、汚水の排出、水消費量のコントロール、節水プロジェクトを担当し、排水処理プラント、軟水・脱イオン水および雨水収集システムの運用に説明責任を負います。
工業用水と排水の水質を良好に維持するため、工場内で毎日水質検査を行うほか、3 か月ごとに外部業者による排水検査も実施されています。排水に含まれるコロイドや沈殿物、危険物を除去するため水処理が行われます。流出や水関連の問題が発生した場合、同工場には問題に対するしっかりした対応計画があり、最初の事故の根本原因の分析、経営陣によるレビュー、内部報告プラットフォームでの文書化、月例の工場会議における緩和策についての話し合いなどが含まれます。この施設では過去 1 年間、水に関する違反はありませんでした。
サステナビリティ・チームは、エコラボの上級ビジネスリーダーと部門責任者で構成されるサステナビリティ・エグゼクティブ・アドバイザリー・チームの指導と助言を受けています。さらに、エコラボのウォーター・スチュワードシップのポジションと安全衛生環境(SHE)のポジションは一般に公開されており、水関連の問題やコンプライアンスに対するエコラボの取り組みおよびガイダンスの役割を果たします。ウォーター・スチュワードシップを推進するエコラボの立場は、責任あるウォーター・スチュワードシップに対するエコラボの世界的な取り組みを正式に表しており、ビジネスやコミュニティ、そして環境に利益をもたらす方法で水資源を使用する機会を、エコラボとそのお客様に示しています。エコラボの SHE ポジションは、グローバルな事業活動における、安全衛生環境に関する優れた実践とパフォーマンスへのエコラボのコミットメントを示すものです。
ウォーター・スチュワードシップのこれまでの経緯
工場内でのオペレーションの改善に加え、エコラボのクアウティトラン・イスカリ工場は、外部でのウォーター・スチュワードシップ活動も継続的に行っています。工場と、関連する地域の利害関係者に共通の課題としては、水不足、水関連プロジェクトのためのインフラや資金、水質などが挙げられます。こうした共通の課題に対処するため、エコラボは流域内の他の水利用者とも連携しています。クアウティトラン・イスカリ工場のチームは、AWS 認証を取得するまでの道のりを、流域内の 30 を超える企業、非政府組織、政府機関と共有してきました。また、エコラボはクアウティトランの企業連合の一員であり、地域の安全イベントに取り組んでいます。
水に関わる重要な地域の健全性に貢献するため、メキシコのクアウティトラン・イスカリとレルマの工場から 100 名のボランティアが、ザ・ネイチャー・コンサーバンシー(TNC)および ProNatura と協力し、2019年にメキシコシティのサン・アンドレス・トトルテペックに 2,000 本の木を植えました。
2021年には、メヒコ州ウイスキルカン、ピエドラ・グランデ地域の低所得世帯のために移動式貯水タンクを設置する活動に、クアウティトランとレルマの各工場から 90 名を超えるボランティアが参加しました。この貯水タンクは、人の飲食や、動物や食糧の生産に使用する水を貯え、ろ過することができます。このボランティア活動は、20 軒の家庭と 200 人を超える人々の支援につながります。
クアウティトラン工場は2023年、地元の中等学校で手洗いの啓発イベントを主催するなど、3 つのボランティアプログラムに参加しました。清掃活動や多肉植物の植え付け、ソチミルコでのチナンパ農業のボランティア活動を通じて、600 本以上の植樹を行い、公園の緑地回復と維持に貢献しました。
地域のウォーター・スチュワードシップの取り組みに加え、エコラボのグローバル寄付プログラム「ソリューション・フォー・ライフ」は、TNC およびプロジェクト WET 財団という 2 つの世界的な NGO とのパートナーシップを通じて、淡水を保全・保護する当社の使命を着実に果たしています。
このケーススタディは、AWS の指標 5.1.1、5.2.1、5.3.1. 5.4.1、5.4.2、5.5.1、5.5.2、5.5.3 に準拠して作成されています。より詳しい情報は、sustainability@ecolab.com までお問い合わせください。