
エコラボのクアウティトラン・イスカリ工場(メキシコ)
ウォーター・スチュワードシップ・リーダーの認定を取得
アライアンス・フォー・ウォーター・スチュワードシップ(AWS)のケーススタディ
2021年12月発行 | 2025年6月改訂
見識
エコラボは、水関連ソリューションおよびサービスのグローバルリーダーとして、スマートな水管理、保全、スチュワードシップを通じて、安定して水を確保できる未来づくりに取り組んでいます。当社は以下を実践しながら、2030年までに、水に関わるネット・ポジティブ・インパクトを引き続き実現していく予定です。
- 運営施設における水の削減、リサイクル、補給。当社は、2018年を基準として、水資源への影響を全社で生産単位あたり 40% 削減することを目標としています。
- リスクの高い施設で絶対取水量の 50% 以上を再利用することで、地域の水域を保護する。
- 高リスク水域のエコラボ製造施設でアライアンス・フォー・ウォーター・スチュワードシップ(AWS) の水準を満たし、AWS 認証を取得することで成果を達成する。
メキシコのクアウティトラン・イスカリにあるエコラボの製造施設は、こうした目標達成に大きく貢献しています。クアウティトラン・イスカリの施設では、主に工業用の洗浄・除菌化学品を製造しています。
その主な水源は、クアウティトラン-パチュカ帯水層です。家庭排水や産業排水は処理を経て、クアウティトラン川に流れ込む都市用排水溝に排出されます。
クアウティトラン・イスカリの施設は、AWS 認証の取得、工場のスマートな水管理アプローチの強化、革新技術の導入といった水をめぐる全社的な目標推進のための優先的拠点に指定されました。
活動
企業規模の水に関する目標達成に向けて、現地のチームは、2018年から2030年にかけて、生産量 1 トン当たりの年間使用量を 40% 削減することを目標に掲げました。
施設の水バランスの改善に向けて以下のプロジェクトを立ち上げ、全体的な水使用量を削減するために以下のことを実践しています。
- オペレーション全体で使用するための雨水収集・浄化システムの設置
- スプレーボールの交換により、洗浄効率の最適化と洗浄水の消費量削減を実現
- 処理設備の洗浄工程の最適化
- 逆浸透膜や脱イオンシステムの再生に使用する水の削減
- ホールドタンク洗浄システムの改良
- 高効率な浴室・更衣室備品・バルブの設置
成果
こうした取組みの結果、クアウティトラン・イスカリ工場では水とエネルギーの使用量を削減しました。この改善は、施設の操業効率を高め、エコラボのサステナビリティ目標の達成に向けた有意義な一歩となったことが実証されました。

地域の水域の全体的な健全性を向上させる目的で、また、2030年ポジティブインパクト達成に向けたエコラボの取り組みの一環として、当社は事業を展開する高リスクな水域で AWS 認証取得を優先しています。
ウォーター・スチュワードシップのこれまでの経緯
エコラボは、自社施設でのサステナブルな水使用に加え、地域レベルで他の企業と協力する取り組みを進めています。エコラボは、製造施設全体の水管理に対する包括的なアプローチへの取組みに則して、2021年にクアウティトラン・イスカリ工場において、アライアンス・フォー・ウォーター・スチュワードシップ(AWS)バージョン 2.0 国際水基準のコア認定を取得しました。当施設では、コア認定を維持するために、AWS の要件に関する最新情報を常に把握しています。
クアウティトラン・パチュカ帯水層における共通の水問題を特定するため、 エコラボのスマート・ウォーター・ナビゲーターと世界リソース研究所(WRI)の Aqueduct Atlas から得られた洞察を活用し、包括的なリスク評価が実施されました。水使用量削減プロジェクトは、リスクの確率と施設レベルおよび地域の利害関係者への影響を鑑みつつ、優先順位付けされました。
エコラボのウォーター・スチュワードシップによるアプローチは、自社の業務だけでなく、当社が事業を展開する地域における水問題にポジティブな影響をもたらすことを目標としています。クアウティトラン・イスカリ工場と地元の利害関係者にとって、水に関する最大の課題は、水不足、水インフラ、水質、生物多様性、洪水などです。
こうした問題に効果的に対処するために、ウォーター・スチュワードシップ・アプローチに積極的に取り組むことで、持続可能な敷地内での水収支と水質の継続的な改善を目指しています。当社の包括的なアプローチには、重要な水関連エリアと水、除菌、衛生(WASH)への重点的な取り組みが含まれており、これらすべての重要分野で継続的に前進していくには、積極的な水管理がカギとなります。

サステナブルな
水質バランス
ネット・ポジティブ・ウォーター
当社事業における持続可能な水収支とスマートな水管理へのアプローチは、全社的な水に関わるネット・ポジティブ・インパクトを実現するための重要な要素です。これらの企業目標に沿って、各地域のチームでは、2018年から2030年にかけて、施設における生産量 1 トン当たりの年間水使用量を毎年 40% 削減することを目標に掲げました。エコラボのクアウティトラン・イスカリ施設のチームは、2030年のポジティブ・インパクト目標達成に向けて、事業全体で水の使用量を削減する機会を評価しました。水使用量削減プロジェクトの実施は、リスクの確率と施設レベルおよび地域の利害関係者への影響に基づいて優先順位が決定されました。

水質
水質へのアプローチ
プロセスと排水の水質を良好に維持するため、水質検査が毎日実施されるほか、6ヵ月ごとに外部業者による排水検査も行われます。排水に含まれるコロイドや沈殿物、危険物を除去するため水処理が行われます。
各施設では、雨水と排水を放出する前に、排水を目視で検査してテストを行い、地域の環境要件、許可限度、または会社の基準を満たしていることを確認する必要があります。地域の環境要件や許可制限がない場合に、隣接する水路へ雨水を排出したり、都市下水路へ排水を放出する際は、会社の基準を満たす必要があります。同施設には、流出や水関連の問題が発生した場合における万全な対応計画が用意されており、最初の事故の根本原因の分析、内部報告プラットフォームでの文書化、緩和策についての話し合いなどが行われます。現場における水関連のコンプライアンスに関する情報は、ご要望に応じて提供可能です。

水管理
水管理のアプローチ
工場レベルでは、安全衛生環境(SHE)マネジャーと SHE 部門が、排水試験とコンプライアンス、排水の放出を担当しています。工場のメンテナンス責任者は、汚水の排出、水消費量のコントロール、節水プロジェクトを担当し、排水処理プラント、軟水・脱イオン水および雨水収集システムの運用に説明責任を負います。さらに、SHE マネジャーは、エコラボの内部グローバルサプライチェーン環境方針および該当する外部規制に従って、水監視要件に対する責任を負います。
規制の最新情報や排水コンプライアンスに関するお問い合わせは、エコラボの環境責任者までご連絡ください。施設の水関連のコンプライアンス情報は、ご要望に応じて入手可能です。これには、施設において将来的なインシデントの発生を防ぐために必要な是正措置も含まれます。
会社の最上級ビジネスリーダーと部門責任者で構成されるサステナビリティ・エグゼクティブ・アドバイザリー・チーム(SEAT)が、本社サステナビリティ・チームを指導するとともにアドバイスを提供します。さらに、エコラボのサステナビリティ、ウォーター・スチュワードシップ、グローバル SHE に対する見解は一般公開されており、水に関する問題やコンプライアンスに対するエコラボの取組み、ならびにガイダンスの役割を果たします。エコラボの サステナビリティに対する見解は、社内でのエコラボのグローバルなサステナビリティに関する取り組み、およびお客様への影響を具体化するものです。エコラボのウォーター・スチュワードシップに関する見解は、企業として、またお客様が水資源を事業、コミュニティ、そして自然に良い方法で利用することで、責任あるウォーター・スチュワードシップに対するエコラボのグローバルな取り組みを強化します。エコラボのグローバル SHE に対する見解は、グローバルな事業活動における安全、衛生、環境に関する優れた慣行とパフォーマンスへのエコラボの取組みの概要を示します。

重要な水関連エリア

水、除菌、衛生(WASH)
共同の取り組み
工場内でのオペレーションの改善に加え、エコラボのクアウティトラン・イスカリ工場は、外部でのウォーター・スチュワードシップ活動も継続的に行っています。工場、そして関連する地域の利害関係者に共通する課題としては、水不足、水インフラ、水質、生物多様性、洪水などがあります。こうした共通の課題に対処するため、エコラボは流域内の他の水利用者とも連携しています。クアウティトラン・イスカリ工場のチームは、AWS 認証を取得するまでの道のりを、流域内の 30 を超える企業、非政府組織、政府機関と共有してきました。また、エコラボはクアウティトランの企業連合の一員であり、地域の安全イベントに取り組んでいます。
2024年には、クアウティトラン・イスカリ施設のボランティアがシエラ・デ・グアダルーペ州立公園に 320 本の木を植え、継続的な森林再生活動を支援しました。
クアウティトラン・イスカリ工場は2023年、地元の中学校で手洗いの啓発イベントを主催するなど、3 つのボランティアプログラムに参加しました。施設のボランティアは、公園の清掃、多肉植物の植え付け、ソチミルコでの伝統的なチナンパ農業の支援など、さまざまな活動を通じて、600 本以上の木を植え、緑地の回復と維持を支援しました。
2021年には、メヒコ州ウイスキルカン、ピエドラ・グランデ地域の低所得世帯のために移動式貯水タンクを設置する活動に、クアウティトランとレルマの各工場から 90 名を超えるボランティアが参加しました。これらの貯水槽は、人間の消費、動物、または食品生産に使用できる水の貯蔵とろ過の増強を可能にします。このボランティア活動により、20 世帯、200 人以上が恩恵を受けています。
2019年、メキシコのクアウティトラン・イスカリとレルマの施設から 100 名のボランティアが、ザ・ネイチャー・コンサーヴァンシー(TNC)および ProNatura と提携し、2019年にメキシコシティのサン・アンドレス・トトルテペックのコミュニティに 2,000 本の木を植えました。
地域のウォーター・スチュワードシップの取組みに加え、エコラボのグローバル寄付プログラム「ソリューション・フォー・ライフ」は、 ザ・ネイチャー・コンサーバンシーおよびプロジェクト WET とのパートナーシップやその他のプロジェクトを通じて、淡水を保全・保護する当社の使命を着実に推進しています。
このケーススタディは、AWS の指標 5.1.1、5.2.1、5.3.1. 5.4.1、5.4.2、5.5.1、5.5.2、5.5.3 に準拠して作成されています。より詳しい情報は、sustainability@ecolab.com までお問い合わせください。