エコラボのモンテレイ工場(メキシコ)がウォーター・スチュワードシップのリーダーに認定
アライアンス・フォー・ウォーター・スチュワードシップ(AWS)導入のケーススタディ
2023年9月26日発行 | 2023年10月24日改訂
背景
メキシコのヌエボ・レオン州モンテレイ郊外、アポダカ市に位置するエコラボの製造施設は、洗剤、消毒剤などの洗浄剤に使われる工業用の液体化学薬品の生産を専門とする工場です。モンテレイの施設では主に都市用水を使用しており、ペスケリア川流域を水源とするロドリーゴ・ゴメス(ラボカ)、セロ・プリエト、エル・クシージョの各ダムから供給されています。生活排水と工業排水は工場で処理された後、市営水道システムに放流されますが、そこでさらなる処理を経てからペスケリア川に放流されます。
製造施設全体で水管理への総合的なアプローチを実践する取り組みに沿って、エコラボはモンテレイ工場において、アライアンス・フォー・ウォーター・スチュワードシップ(AWS)バージョン 2.0 国際規格のコア認証の取得を目指しています。
背景
水資源への影響を全社で生産単位あたり 40% 削減し、リスクの高い施設では絶対取水量の 50% 以上を再利用するというエコラボの 2030 年インパクト目標を達成するために、エコラボのモンテレイ工場チームは同施設を評価し、事業全体で水の使用量を削減する余地があるか検討しました。これらの企業目標に沿って、各地域のチームでは、2018年の基準値から生産量 1 トン当たりの年間取水量を毎年平均 3.3% 削減することを目標に掲げました。
水の削減と再利用の取り組みとして、雨水の回収、浴室での水使用量の削減、節水型蛇口の導入、タンク洗浄水の再利用といった点が挙げられました。こうした取り組みを優先的に進めるには、コーポレート・サステナビリティ、モンテレイのエンジニアリング、安全衛生環境(SHE)の各チームによる協力が必要となります。
総合的なリスク評価は、エコラボのスマート・ウォーター・ナビゲーター、世界資源研究所の Aqueduct Atlas、世界自然保護基金の水リスクフィルター、そして「持続可能な開発のための世界経済人会議」の WASH Pledge アセスメントツールから得られた知見を活用して実施され、共通の水問題と施設レベルの水問題を特定しました。取水量削減プロジェクトの実施は、リスクの確率と施設レベルおよび地域の利害関係者への影響に基づいて優先されました。5 つの AWS 基準の成果のうち、モンテレイ施設では水収支の持続可能性、良好な水質状況、施設への関連性と現場へのリスクのバランスを考慮した好ましい水管理 に注力しました。
年間節約額
-
水
181,000ガロンを節水(685m3)
-
もたらされた価値の合計:
$3,600
リスク調整後のコスト削減額(USD)
地域の水域の全体的な健全性を向上させる目的で、また、エコラボの2030年インパクト目標の一環として、当社は事業を展開するハイリスクな水域で AWS 認証取得を優先しています。
年間平均 181,000 ガロン(685 m3)の水を削減 - リスク調整後のコスト削減額 $3,600 USD に相当。
ソリューション
施設の水バランスの改善に役立つ以下のプロジェクトが立ち上げられ、全体的な水使用量の削減に貢献しています。
- 浸透除去水の回収と再利用。
- エアコン装置からの水の回収。
- 工場の排水処理能力を高め、先進的な水のリサイクルと再利用を実現。
今後の強化策として、以下のプロジェクトが検討されています:
- 全工場の従業員から節水のアイデアを集めることを目的とした、アイデア収集システムを導入します。これにより、すべての従業員が水を共有資源として捉えるようになり、毎月実施される業務報告でも全社的な節水のための議論を促すことができます。さらに、雨水を集めて再利用し、全体的な水の消費量を削減します。
- 水流に関するインテリジェンスを導入し、現場の水資産をより効果的に把握できるようにします。
これらの一致団結した取り組みにより、モンテレイ工場では基準年の2018年と比較して、2022年には製品 1 トンあたりの取水量を全体で 43% 削減することに成功し、年間の水強度を平均 3.3% 低減するという目標に向けて着実に前進しています。
画像キャプション:モンテレイ工場の位置と、その周辺のペスケリア川流域を示すメキシコの地図
パフォーマンス
- 水に関わるポジティブ・インパクト | 年間平均 181,000 ガロン(685 立法メートル)の取水量を削減することにより、2022年の製品 1 トンあたりの水使用量を2018年の基準値から 43% 削減。
- 経済効果 | リスク調整後の平均年間コスト削減額は $3,630
表:モンテレイ工場における2018年~2022年の取水量、水強度目標、水強度実績データ
項目 | 2018 | 2019 | 2020 | 2021 | 2022 |
---|---|---|---|---|---|
取水量(m3) | 6,610 | 7,027 | 6,764 | 6,055 | 3,873 |
水強度目標 * | 0.48 | 0.46 | 0.45 | 0.43 | |
水強度実績 | 0.46 | 0.57 | 0.57 | 0.44 | 0.28 |
水管理
工場レベルでは、SHE マネジャーが排水試験、コンプライアンス、排水、合法的な排水の放出に対する責任を負っています。メンテナンス責任者は下水の排出、水の消費、現場での節水プロジェクトの指揮だけでなく、排水処理場、軟水や脱イオン水、雨水収集システムの運営に対する責任を担います。
良好な水質を維持するため、モンテレイ水質チームは水質を毎日監視しています。さらに、排水は 3ヵ月ごとに地元の第三者機関によって分析されています。流出や水関連の問題が発生した場合、同工場には問題に対するしっかりした対応計画があり、最初の事故の根本原因の分析、経営陣によるレビュー、内部報告プラットフォームでの文書化、月例の工場会議における緩和策についての話し合いなどが含まれます。この施設では過去 1 年間、水に関する違反はありませんでした。
会社で最上級のビジネスリーダーと部門責任者で構成されるサステナビリティ・エグゼクティブ・アドバイザリー・チームが、グローバル・サステナビリティ・チームを指揮するとともにアドバイスを提供します。加えて、エコラボのサステナビリティ、ウォーター・スチュワードシップおよび SHE に対する見解は、一般公開されており、水に関する問題やコンプライアンスへの取り組み、またガイダンスの役割を果たします。
ウォーター・スチュワードシップのこれまでの経緯
工場内における操業上の改善策に加え、エコラボのモンテレイ施設の外部ウォーター・スチュワードシップ活動も継続して進めています。工場と、関連する地域の利害関係者に共通の課題としては、水不足、水関連プロジェクトのためのインフラや資金、水質などが挙げられます。こうした共通の課題に対処するため、エコラボは流域内の他の水利用者とも連携しています。
工場の従業員は、工場付近の緑地でのゴミ収集イベント、公立学校での手洗い推進のための啓蒙・教育キャンペーン、モンテレイ周辺の山岳地帯での植樹を中心としたボランティア・イベントなど、数多くの社会プロジェクトに参加しています。この施設は、公営の水処理事業者、地域の多様な民間企業、複数の非政府組織(NGO)を含む一般の利害関係者と関わっています。
エコラボ財団と TNC は2014年以来、モンテレイ都市圏の 60% 以上の水を供給する、クンブレス・デ・モンテレイ国立公園内の 293 エーカーを超える土地を修復・保全してきました。これらの活動は、モンテレイとその周辺の地域社会において水分浸透を改善し、水流を調整して、洪水のリスクを低減しながら、水の安全保障と気候変動への耐性を強化することを目的としています。
さらに、当社の協力の下、景観を修復するために樹木を提供し、地元農民の生計に貢献するコミュニティ樹木苗床が作られました。2018年にスタートしたこの苗床は現在、年間 60,000 本の植物を生産しています。このように育てられた植物を使って、クンブレス・デ・モンテレイ国立公園内にある 300~370 エーカーの植生のない地域を再植林することができます。さらに植林によって地表水と地下水のろ過と流れを助け、450 万人に恩恵をもたらすこともできます。
地域のウォーター・スチュワードシップの取り組みに加え、エコラボのグローバル寄付プログラム「ソリューション・フォー・ライフ」は、ザ・ネイチャー・コンサーバンシー およびプロジェクト WET とのパートナーシップやその他のプロジェクトを通じて、淡水を保全・保護する当社の使命を着実に果たしています。
このケーススタディは、AWS の指標 5.1.1、5.2.1、5.3.1. 5.4.1、5.4.2、5.5.1、5.5.2、5.5.3 に準拠して作成されています。詳細については、sustainability@ecolab.com までお問い合わせください。
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