Employee at Ecolab’s Suzano, Brazil Plant

エコラボのスザノ工場(ブラジル)がウォーター・スチュワードシップのリーダーに認定

アライアンス・フォー・ウォーター・スチュワードシップ(AWS)のケーススタディ

背景

ブラジル、サンパウロ近郊のスザノにあるエコラボの製造施設は、主に工業用水処理化学品を製造する混合および化学反応の工場です。スザノの施設は、先カンブリア時代の帯水層からの地下水と、アルトチエテチエテ川沿いにある、複数の貯水池からなるアルトチエテ水系からの都市用水を水源としています。飲料水はグアラニ帯水層を水源としています。排水は公営および工業用の用水路へ送られて処理された後、チエテ川に放出されます。 

製造施設全体の水管理について総合的なアプローチを進めるエコラボの取り組みに則して、エコラボのスザノ工場は2022年、アライアンス・フォー・ウォーター・スチュワードシップ(AWS)国際水基準のコア認定を取得しました。当施設では、コア認定を維持するために、AWS の要件に関する最新情報を常に把握しています。 

背景

水資源への影響を全社で生産単位あたり 40% 削減し、リスクの高い施設では絶対取水量の 50% 以上を再利用するというエコラボの 2030 年インパクト目標を達成するために、エコラボのスザノ工場チームは、施設における水の使用量削減の機会を検討しました。これらの企業目標に沿って、各地域のチームでは、2018年から2022年にかけて、生産量 1 トン当たりの取水量を毎年平均 3.33% 削減することを目標に掲げました。

その結果、水を削減できそうな部分は以下の分野に絞られました:   

水流モニタリングの改善、処理設備の洗浄工程の改良、水関連のメンテナンスの問題点に対処する優先プランの導入。そして、サステナビリティ部門の創設です。これらの項目を実行するには、コーポレート・サステナビリティ部門とスザノにおけるエンジニアリングおよび安全衛生環境チーム全体の協力が必要でした。 

エコラボのスマート・ウォーター・ナビゲーター、世界資源研究所(WRI)の Aqueduct Atlas から得られた知見を活用して総合的なリスク評価が実施され、共通の水問題と施設ごとの問題が特定されました。取水量削減プロジェクトの実施は、リスクの確率と施設レベルおよび地域の利害関係者への影響に基づいて優先されました。AWS 基準の 5 つの成果のうち、スザノ工場では、施設への関連性とリスクのバランスを考慮し、持続可能な水収支、良好な水質および健全な水管理に焦点を当てました。

AWS certification data 1.3 million gallons of water reduced and $33,500 USD risk=adjusted cost savings

地域の水域の全体的な健全性を向上させる目的で、また、エコラボの2030年インパクト目標の一環として、当社は事業を展開するハイリスクな水域で AWS 認証取得を優先しています。

AWS Certification Plant Imagery

ソリューション

施設の水バランスの改善に役立つ以下のプロジェクトが立ち上げられ、全体的な水使用量の削減に貢献しています。

  • 冷却水システムの高度なモニタリング、管理能力、そしてアセット保護を提供する、エコラボの冷却水用 3D TRASAR™ 技術の導入
  • 強化された管理能力、および工場全体における水使用量の可視化を実現する、比重計とオンライン監視システムの導入による水流モニタリングの改良
  • オペレーション全体で使用するための雨水貯留システムの構築
  • 処理設備の洗浄工程の最適化
  • 総合工場管理プログラムを活用して、部門相互編成チームを立ち上げて維持。このチームは、予防メンテナンスや継続的な改善プロジェクトを通じて、工場全体における水の損失を特定し、解消するべく取り組みます。
  • 洗浄キャンペーンと洗浄マトリクスの導入
  • 工場での水の再利用プロセス
  • 施設サステナビリティ部門の創設
  • 排水処理における湿地の活用

また、施設にエコラボの​​​​​​​ボイラ用 3D TRASAR™ 技術を導入することにより、高度なボイラ水の自動化および制御を可能にし、それによって信頼性を高めながら、さらなる水とエネルギーの使用量、および排出ガスの削減を実現します。

こうした取り組みにより、スザノ工場では2022年に、基準年の2018年と比較して製品 1 トンあたりの取水量を全体で 19% 削減することに成功し、年間の水強度を平均 3.33% 低減するという目標に向けて着実に前進しています。

年間平均で 130 万ガロンの水の削減
(リスク調整後のコスト削減額 $33,500 に相当)
を、2018年から2022年にかけて達成しました。

パフォーマンス

  • 水のポジティブ・インパクト | 取水量を年間平均 130 万ガロン(~5,000 m3)削減したことにより、2022年に、基準年の2018年と比較して製品 1 トンあたりの水使用量を 19% 削減することに成功
  • 経済効果 | リスク調整後の平均年間コスト削減額は $33,500
map of brazil locating ecolab’s suzano plant location, the Precambrian aquifer and Alto Tietê river basin
chart detailing water savings progress at Ecolab's Suzano plant

水管理

工場レベルでは、安全衛生環境チームが水質管理、排水、排水の放出、そして水問題に関するあらゆる法的要件について責任を負っています。ユーティリティ、物流、生産、およびメンテナンスを担当する各チームは、節水プロジェクトの実行に携わっています。さらにユーティリティチームは、工業用水・流出水処理システムの運用、排水の監視、関連するサンプルの採取も担当しています。

良好な排水の質を維持するため、継続的に温度と pH を調整しています。また、全分析を毎月実施し、年次分析データをサンパウロ州の水処理場と環境当局に送付して、システムのコンプライアンスを維持しています。給水の飲料水水質検査は毎月、プロセス水の検査は毎年、それぞれ実施しています。

流出や水関連の問題が発生した場合、スザノ工場には問題に対する万全の対応計画を用意しており、事故の根本原因の分析、経営陣によるレビュー、内部報告プラットフォームでの文書化、月例の工場会議における低減策についての話し合いなどが行われます。昨年は工場における水関連の違反はありませんでした。

会社で最上級のビジネスリーダーと部門責任者で構成されるサステナビリティ・エグゼクティブ・アドバイザリー・チームが、サステナビリティ・チームを指揮するとともにアドバイスを提供します。加えて、エコラボのサステナビリティ、ウォーター・スチュワードシップおよび安全、衛生、環境(SHE)に対する見解は一般公開されており、水の問題やコンプライアンスに対するコミットメントならびに指針の役目を果たしています。エコラボのサステナビリティに対する見解は、社内でのエコラボのグローバルなサステナビリティに関する取り組み、およびお客様に対する影響を具体化するものです。エコラボのウォーター・スチュワードシップに関する見解は、企業として、またお客様が水資源を事業、コミュニティ、そして自然に貢献する方法で利用することで、責任あるウォーター・スチュワードシップに対するエコラボのグローバルなコミットメントを強化します。エコラボの SHE ポジションは、グローバルな事業活動における、安全衛生環境に関する優れた実践とパフォーマンスへのエコラボのコミットメントを示すものです。

ウォーター・スチュワードシップのこれまでの経緯

社内における運営の改善に加えて、エコラボのスザノ施設では、外部のウォーター・スチュワードシップ活動にも継続的に取り組んでいます。工場、そして関連地域の利害関係者に共通する課題としては、水不足、水質、また物理的な洪水のリスクなどが挙げられます。こうした共通の課題に対処するため、エコラボは流域内の他の水利用者とも連携しています。

現場の従業員は、エコラボのブラジル・セールスチームやサービスチームと連携し、ウォールアートや公共事業を通じて、コミュニティに水への意識とその大切さを啓発するための様々な社会活動に参加してきました。この施設は、公営の水処理事業者、地域の多様な民間企業、複数の非政府組織(NGO)を含む一般の利害関係者と関わっています。

さらにエコラボは、国連(UN)の Water Resilience Coalition の発足当時からのメンバーであることを活かし、この連合のサンパウロ支部の発足に尽力しました。これにより、地域の中小企業が連携して共通の水問題に立ち向かう基盤が拡大されました。

さらにエコラボでは、ザ・ネイチャー・コンサーヴァンシー(TNC)とパートナーシップを組んで、サンパウロ水基金を通じたプロジェクトを支援しています。このプロジェクトの主な目的は、サンパウロ都市部の水の安全確保と向上です。サンパウロ水基金を通じ、モジダスクルーゼスとサレソポリス自治体内にある 220 ヘクタール以上の森林が保護されます。両自治体とも、アッパーティエテ側の源流近くに位置しています。プロジェクトのパートナーは地方の地主と協力して、保護と再生、そして地方の衛生に関する改善点を特定する目的で、現存する森林をマッピングしています。自治体にすでに存在する、市町村水保全規約(Municipal Water Conservation Policy)に沿った自発的な保護契約を地主と交わします。契約の締結後は、地域の地主たちは所有する森林を保護することで報酬を受け取ります。プロジェクトでは資金を活用し、サレソポリスおよび/またはモジダスクルーゼス地区において古いシステムを高度な技術を使ったものに置き換え、地域で最低限の衛生設備を利用できるようにしています。このプロジェクトで、2023年から 10 年間にわたり、毎年 29,40 万ガロンの水が補給されるだけでなく、地下水貯留量の維持と水量の回復を促し、地表水の水質向上と、自然の植物種の豊かさと多様性の維持が叶います。加えて、このプロジェクトは炭素隔離の維持と向上を実現し、気候変動への適応の改善および緩和策の実施のほか、地域住民の健康促進を促します。

地域でのウォーター・スチュワードシップの取り組みに加えて、エコラボの世界的なチャリティプログラムであるソリューション・フォーライフは、企業が TNC や Project Wet 財団とのパートナーシップおよび一緒に進めるプロジェクトによって、その目標を達成しやすいよう支援します。

 

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